山べに行かむ桜見に④〜長谷寺「寒緋桜」
3月23日、鎌倉の長谷寺を参詣しました。
この日は朝から小雨が降っている生憎の天気。
境内の観音堂までの石段を登り切って、右側の鐘楼の脇に寒緋桜の木があります。(タイトル写真)
さらに進んで、経堂の脇には句碑があります。
観音の慈願尊し春の雨 大野万木
ちょうど今日の天気は句のような春の雨でした。
さて桜の話。
この日は、高知の地方気象台でさくらの開花が観測されて、報道もされています。
気象庁では毎年全国のさくらの開花を発表しています。
2024年のさくらの全国で最初の開花が高知であったのかというとそうではありません。
2024年は沖縄の宮古島で1月5日にさくらの開花が観測されています。
ただし、さくらの種類は「そめいよしの」ではなく「ひかんざくら」です。
境内に咲いているのもこの「ひかんざくら(緋寒桜)」です。
(名札には「寒緋桜」とありますが同種です。)
本土で一般に「さくら前線」と言われているのは、「ソメイヨシノ前線」なのですが、報道などで品種をあえて伝えなくでも誰も疑いません。
一方で「ヒカンザクラ前線」は、沖縄で一月頃に開花の観測が発表された後、消息を絶ってしまいます。
ですから、しばらくして身の回りでその開花に出会うと、「おお、ここまで来ましたか。あなたはいつ咲いたのですか。」という気持ちになります。
ソメイヨシノばかりが注目されているので、ヒカンザクラからは、「先月から咲いているよ、知らないの?」と言い返されそうで、済まない気持ちにさせられるのです。
(岡田 耕)
☆この日はお彼岸だったので、帰りにお寺の前の「恵比寿屋」さんでおはぎと桜餅を買って帰りました。