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選評*新豆腐朝の光ごと掬ふ

新豆腐朝の光ごと掬ふ  岡田耕
    
町の豆腐屋さんであろう。
    店の入口に設えられた水槽にたっぷりと水が張られ、出来立ての豆腐が沈んでいる。それを客の注文の都度そっと掌に掬い上げて分けてくれる。真っ白な豆腐に朝の光まで添えて。しかもそれが新豆腐とは、香りまで漂ってくるよう。
    今はもっぱらコンビニやスーパーでパック詰めされたものが売られているが、一昔前まではごく普通の景だった。しかしまだ頑張っている豆腐屋さんもあるのだろう。
「朝の光ごと」が何とも瑞々しい。
(磯村光生)

俳句雑誌『風友』令和六年十月号

(岡田 耕)

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