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水の声 水泳部員をぶっち抜く帰宅部員の奇跡の物語

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皆さんには水の声は聞こえるだろうか? 水の声は私を遥かに速い泳ぎへと導いてくれました。 そして、その水の声が私の人生を大きく変えたこと。 不思議な体験をさせてもらった事。 今まで…
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【連作短編】水の声(No,0)あらすじ

この物語は私の過去の経験をもとに書きました。 小説はいくつか書いているのですが、初めて書いた処女作品です。作成時は2008年でした。 水泳の事を題材とし、水の中で声が聞こえる不良少年の物語です、 主人公 小川純は、小学4年で水泳部でもないのに検定試験を受けることになります。 合格した彼は水泳部に入るのかと思われたが、そういう事には一切興味がなく、ただ単に水の中でゆっくりと声を聞きたいというたったそれだけの為でした。 時は流れ、中学1年になった時、彼は学校では有名な不良少年

【No.1】水の声 水泳部員をぶっち抜く帰宅部員の奇跡の物語

皆さんには水の声は聞こえるだろうか? 水の声は私を遥かに速い泳ぎへと導いてくれました。 そして、その水の声が私の人生を大きく変えたこと。 不思議な体験をさせてもらった事。 今までの人生で、一番心に残っている出来事です。 その声を皆さんにも知っていただきたいと思います。 目 次 はじめに 全ては水の声に導かれた時からだった 小学校生活 中学時代 時間と空間を超えた世界 水泳大会までの出来事 別世界 約束 闘志 夢の中 校内水泳大会(前編) 校内水泳大会(坂本久美子 前編)

【No.2】水の声 水泳部員をぶっち抜く帰宅部員の奇跡の物語

小学校生活 俺にとって学校は遊びに行く場所に過ぎなかった。 勉強はできない人。 落ちこぼれ中の落ちこぼれ。 テストで30点行けば良い方の本当の落ちこぼれだった。 故に、クラスでもそんなに目立つわけでもなく、かといって人気者でもない、ごくごく普通の小学生だった。 好きな子? いたけど、こんな落ちこぼれにとっては雲の上の存在だった。 とにかく毎日が同じことの繰り返しで、これが後何年続くんだろうと毎日毎日どこかで何かが変わることを期待していた。 2学期が始まって、クラスで最初

【No.3】水の声 水泳部員をぶっち抜く帰宅部員の奇跡の物語

中学時代 学校は遊びに行くところ。 中学時代はその俺の勝手な常識を全く覆された場所だった。 成績の悪い俺は馬鹿のレッテルを貼られ、教師からもクラスメートからも見放されていた。 グレるしかなかった。 何かといちゃもんをつけ、人に言われた事を守ろうとしない単なるひねくれものになっていた。 かといって、集団行動が嫌いな俺は、徒党や誰かとつるむわけでもなく、かっこいい言い方一匹狼を気取っていた。 小学校の時に親友だった中田は家の事業がうまくいかず、その事が発端で 『中田の家は貧

【No.4】水の声 水泳部員をぶっち抜く帰宅部員の奇跡の物語

翌日、学校で授業が始まる前に俺は新木の席に向った。 新木は女子にも人気で、新木の席の周りには女友達が数名囲んで楽しく喋っていた。 そのうちの一人が俺を見るなり怖がり、次の瞬間、周りにいた女子はサーっとそこから立ち去って少し離れた場所から新木と俺を見ていた。 新木『おはよう、小川君』 笑顔の、そしていきなりの素晴らしい挨拶をされる事など俺にとっては経験のない事で、一瞬戸惑ってしまった。 コイツは本当に育ちのいいやつだ。 俺『…あ、あ、あ?』 俺『ああ、そうか。うん。おはよう』

【No.5】水の声 水泳部員をぶっち抜く帰宅部員の奇跡の物語

プールでは一気にこの勝負が広がる。 それはプールを越え校内にも広がった。 学校中のやつらが集まってくる。 俺はゼーゼー言ってるのを必死にこらえた。 少しずつ、肺が収まり、元の状態に戻ってくる。 プールサイドには部活などそっちのけで集まってきた野球部員やサッカー部員、挙句の果てには茂野や教師までもが見に来ている。 流石は有名人。全国4位になった男だ。 鈴木が泳ぐとなると皆見に来るんだろう。 しかし、今日は状況が少し違う。 そうだ。その違う状況とは鈴木の相手が俺だと言う事

【No.6】水の声 水泳部員をぶっち抜く帰宅部員の奇跡の物語

時間と空間を超えた世界 どのくらいの時間だっだろうか? 俺は意識の中で、まるで水の中にいるような感じだった。 静寂の中に、俺は女性の姿を見た。 白のワンピースのような服を着た女性が泳いでいる。 その脇には小さな子供が二人、楽しそうに泳いでいた。 女性はイルカのように自由自在に泳ぎ、手は使わず足のみで水の中をずっと泳いでいるのだ。 長い髪を水の中になびかせ、こっちを見ては、少しはにかんだ笑顔で俺を見ていた。 声を掛けても俺の口から言葉は出なかった。 彼女と子供達は

【No.7】水の声 水泳部員をぶっち抜く帰宅部員の奇跡の物語

ある日、俺はいきなりの親父の仕事の手伝いである場所に連れて行かれた。 その場所はある財閥のマンション兼事務所といったところか? 何か理解しがたい不思議な場所だった。 商品を大量に運び、疲れたところで秘書の方がお茶を出してくれた。 そして、その後に表れたこの財閥の社長が親父になにか話し始めた。 ビジネスの話であろう。個人的にはどうでも良い話は聞かなかった。 そしてしばらくした頃、親父が俺を手招きして信じられないことを言うのだ。 親父『純、お前水泳好きだったな』 俺『ん?

【No.8】水の声 水泳部員をぶっち抜く帰宅部員の奇跡の物語

別世界 大会前々日。 その日はプールの水を新しくする為に練習はなしだったらしい。 だが俺は、老人プールで練習をしていた。 いつも以上に疲れて、帰る時だった。 いつも通る道沿いに高級そうな服屋があった。 会津のド田舎には似合わない、それはそれは高価なつくりの服屋だった。 その窓ガラス越しに新木の姿を見つけた。 俺は自転車を止め、その姿に見とれてしまった。 凄く綺麗な女性に変身していたからだ。 服を試着していたのだろうかと思いながら。 女性店員が、俺の姿を見て、その後に新

【No.9】水の声 水泳部員をぶっち抜く帰宅部員の奇跡の物語

闘志 大会前日、翌日の予定表が全員に手渡される。 その予定の最後の方が俺は信じられないでいた。 いや、きっと誰もがそう思っていたであろう。 通常ならばクラス対抗リレーで終わるのだが、その後にもう一種目付け加えられていた。 女子100メートル自由形 決勝 男子100メートル自由形 決勝 何だこれは? 意味が分からない。 印刷ミスかと思っていた。 しかしそうではなかった。 担任の教師が言った。 教師『自由形は全員種目になっています。 その中でタイムが早かった上位7名を決

【No.10】水の声 水泳部員をぶっち抜く帰宅部員の奇跡の物語

夢の中 その夜俺は不思議な夢を見た。 それはとても悲しい夢だった。 小さな木造の家。表札には坂本とあった。 何処にでもあるかのような幸せそうな家族。 夫婦円満で、子供は二人。 一人目は男の子だ。ちょうど10歳くらいだろうか? 二人目は女の子。5、6歳くらいかな。 6畳一間の部屋で、ちょうど夕食を楽しんでいるところだった。 母親の背後にある棚の上には数多くのトロフィーやメダルが無造作に並んでいた。 場面が変わった。 室内プールだ。 ピッ、ピッと笛を吹く女性がいる。 先程の

【No.11】水の声 水泳部員をぶっち抜く帰宅部員の奇跡の物語

校内水泳大会(前編) 午前中の退屈な授業が終わり、昼食後。 もう少しで校内水泳大会。 しかし、俺は新木の席の前に行った。 そして、今朝見た夢の話を新木にした。 別に答えを求めていたわけじゃない。 新木に聞いて欲しかっただけだった。 しかし、その話を聞いた新木は信じられないことを話し始めた。 新木『もしかしたらそれって…』 俺『なんか知ってるのか?』 新木『10年位前だったかな、水泳でこの会津若松から全国大会に出た女性がいたの。オリンピック候補だったわ。半年くらい前、テレ

【休憩 番外編】水の声 私からのメッセージ

皆さんこんにちわ。いつも僕が書いた水の声を読んでくださって、本当にありがとうございます。 さて、物語も中間点に達しました。ここからの後半は意外な展開になります。夢に出てきた坂本久美子という存在。そして、坂本久美子そっくりな自分の泳ぎはいったい何なのか?鈴木龍平との闘いは行われるのか? そして、マドンナ的存在の新木めぐみとの関係は...? 乞うご期待!なんですが、その前に、この物語が出来たきっけを皆さんに知ってもらいたいと思います。 ここNOTEにも素晴らしい著者の皆さ

【No.12】水の声 水泳部員をぶっち抜く帰宅部員の奇跡の物語

スタート台に立った俺は周りのひそひそ話や茂野どもの嫌味な声援、競技の事などそっちのけで中田の姿を探した。 中田が来ているのかどうかわからないほどの人の数。 来ているのか? 来ているのなら手でも振ってくれ。 何処だ? 俺の泳ぎだけでも見たいって・・・中田、来てるよな? 『よ~い…』 ピストルを鳴らす教師が声を張り上げた。 他のやつらは前かがみになって飛び込む用意になったが、俺はその声が聞こえなかった。 それほど親友の中田を探していた。 『…小川?』 その教師が俺にいう。