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ヘルニア手術後に「座るのがつらい」人へ!症状悪化の原因とその対策

今回は「腰椎椎間板ヘルニア」の摘出手術を
受けた後に症状が悪化しやすいポイントについて解説します。
特に「座ること」が痛みの悪化に
つながりやすいことが判明しています。
実際、術後に「座っているだけで腰が痛くなる」
という方もいるのではないでしょうか?
この記事では、なぜ「座ること」が問題なのか、
どう対処すれば良いのかを解説します。


そもそも「腰椎椎間板ヘルニア」って何?

まず、「腰椎椎間板ヘルニア」って
何か簡単におさらいしましょう。
ヘルニアというのは、背骨の間にある
「椎間板」が外にはみ出してしまい、
神経を圧迫することで痛みやしびれを
引き起こす状態のことです。
特に重症化した場合は、歩くのもつらいほどの痛みや、
足のしびれが出ることもあります。

このような症状が改善しない場合、
手術でその「はみ出した部分」を取り除く
「腰椎椎間板ヘルニア摘出術」が行われます。
手術後は痛みが和らぐケースが多いのですが、
中には退院して日常生活を始めた途端に
「また痛みがぶり返してきた!」という方もいます。
そこで本研究では、手術後に症状が悪化する人に
どんな特徴があるのか、
特に「座ること」との関係について調査しました。


研究でわかった「座ること」が引き起こす問題

この研究のポイントは
「座ること」「腰痛の悪化」にあります。
具体的には、手術を受けた患者さんのうち、
退院後すぐに症状が悪化した人たちを対象に、
日常生活でどのような動作が難しいかを調べたところ、
「座ること」が特に大きな問題に
なっていることがわかったのです。

研究では、「Oswestry Disability Index(ODI)」
という評価法を使っています。
これは、日常生活でどのくらい支障を感じているかを
10項目で評価する方法です。
例えば、「座る」「物を持ち上げる」「歩く」「立つ」など、
日常生活でよく行う動作について、
それぞれどれだけ困難を感じているかをスコア化します。
このスコアが高いほど、
生活で感じる支障が大きいことを示しています。



結果:「座ること」がつらい人は腰痛が悪化しやすい!

さて、気になる結果ですが、
手術後の患者さんで「長時間座ることができない」
と感じている人ほど、腰痛が悪化しやすいことがわかりました。
退院後の数週間で再度評価を行ったところ、
特に「座ること」に関するスコアが高かった人ほど
腰痛やしびれが悪化していたのです。
腰に負担がかかりやすい座位姿勢が原因で、
術後の回復が遅れることがあると考えられます。

特に、「座るときの姿勢」が非常に大事だと言われています。
長時間同じ姿勢で座っていると、
腰椎(背骨の下の方)が圧迫され、負担が増します。
その結果、術後の回復が進まず、
痛みが再発してしまうわけです。
実際、研究でも「座ること」と腰痛悪化
の関係が示されているので、
術後に長時間の座位は避けるべきでしょう。


痛みを悪化させないためのコツ:正しい座り方と運動

では、どうすれば良いか?というと、以下の3つが重要です。

1. 正しい姿勢で座る

まず、座るときは
「背筋を伸ばして椅子に深く座ること」
が大事です。
腰の部分にしっかりサポートが入るように、
クッションを使って腰を支えると良いでしょう。
また、長時間座る場合は、
適度に立ち上がって体を動かすことも大切です。

2. 座る時間を減らす

術後すぐにデスクワークを再開したり、
長時間の座位を続けることは避けるべきです。
もし仕事でどうしても座る時間が長くなる場合は、
定期的に休憩を取り、
立って体を動かす習慣をつけましょう。
座りっぱなしは腰にとって良くないので、
1時間に一度は立ち上がって体をほぐしてください。

3. 運動療法を取り入れる

腰回りの筋力を強化することで、
腰への負担を減らすことができます。
例えば、腹筋や背筋を軽く鍛える
エクササイズを取り入れるのも良いでしょう。
腰椎への負担を和らげるための筋力がつくと、
長時間の座位でも腰が痛くなりにくくなります。


ヘルニア手術後に仕事復帰する際の注意点

さらに、研究では「物を持ち上げる動作」が
腰痛悪化の原因になることも示されています。
特に、仕事復帰後に重い物を持つことが求められる場合、
腰に大きな負担がかかるため注意が必要です。
仕事復帰が早ければ早いほど腰への負担が大きく、
痛みがぶり返しやすいと言われています。

もし術後すぐに職場復帰する必要がある場合、
腰に負担をかけない「正しい物の持ち方」
を身につけましょう。
また、できるだけ重いものを持つ
頻度を減らす工夫も重要です。
無理に重い物を持ち上げようとすると、
腰椎に再び負担がかかり、
回復が遅れてしまうことがあります。



まとめ:術後のケアがあなたの将来を左右する!

腰椎椎間板ヘルニアの手術を受けた方、
特に「座っているだけで腰が痛くなる」
という方は少なくないでしょう。
術後のケアをしっかり行い、
正しい姿勢や運動を心がけることで、
術後の回復をスムーズにすることができます。
腰痛が悪化しないよう、
自分でできる予防法を取り入れて、
日常生活を少しでも楽に過ごせるようにしましょう!

特に、正しい座り方や運動療法の実践は、
自分の生活を変える力を持っています。
腰痛を抱えたまま仕事に復帰することは避け、
ゆっくりと回復させる時間を確保しましょう。
正しいケアで腰への負担を減らし、
痛みのない日常を取り戻してください。

タイトル:
腰椎椎間板ヘルニア摘出術後早期の症状悪化例におけるADLについて
─ Oswestry Disability Indexによる検討 ─
著者: 梅野 恭代, 石田 和宏, 佐藤 栄修, 百町 貴彦, 吉本 尚, 柳橋 寧
掲載誌: 日本腰痛会誌, 第15巻第1号, 2009年, pp. 190-196


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