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さよならの朝に約束の花をかざろう


最近サブスクに追加されたので久しぶりに観た
2回目だったけど同じシーンで泣いた
マキアがエリアルとさようならする最後のシーン
人間だけが歳をとって先に死んでしまう
時は平等に進んでいくのに身体の老化は平等でなくて寿命が全く違う種族だから仕方の無いことで分かりきっていたこと
それでもさよならのシーンで泣いてしまう

エリアルがマキアに抱いていた感情を想像すると苦しくなる
自分を育ててくれた母だけど血は繋がっておらず、人間でもない。数百年の寿命があって見た目が自分と変わらない少女のまま…
変わらぬ幼さと美しさを持ったマキアに恋心を抱いてしまってもおかしくない
周りの人達に駆け落ちだなんて言われていたらエリアルもそりゃあ複雑な気持ちになるだろう

親としての強さや逞しさがマキアからすごく感じられるシーンが多くて
エリアルのためにどんな仕事でも笑顔でやっていて、セクハラみたいなお客さんにも嫌な顔1つしなくて、無愛想な料理長みたいな人にすらもハキハキと返事をしていて
いろんな街を転々としてそれでもエリアルのことを離さずに育て続けたマキアの強さ
子を育てる親の強さがしっかりと描かれていて私の母もこんなふうに強かったなあと思った

私の母は女手1つで3人を育てている
マキアがエリアルの前で決して泣かないように私も母が泣いている姿を見たことがなかった

エリアルが出ていったあとに泣いているマキアを見ていると私が一人暮らしを始めるために家を出た時の母の泣きそうに歪んだ顔を思い出してより一層泣けてしまった

誰かと離れる時の苦しみや愛してもらうことの喜び、誰かを愛する気持ち、それらは全て母に教えてもらった
エリアルがマキアにもらった感情、それは私も過去に母から貰った感情と同じだ

エリアルにとってマキアは紛れもなく母で親で帰る場所で自分の一部だったと思う

子を産んで、またその子が子を産んで、人間はどんどん繋がっていく
マキアがエリアルを私のヒビオルと言っていたように
人間が生きて日々を編んで紡いで繋がっていく
その流れは途切れずにまた次の世代が始まっていく
だから人生に意味なんてないのは当たり前で
ヒビオルが織り込まれていくように
私の生もヒビオルの糸の一部みたいに編み込まれてそれがどこかに繋がっていく
そうやって編んで紡いでいく
私が死んでも私という存在は消えてなくならない
私が生きたこと、それがもうすでに編み込まれてまた誰かの生に繋がっていくから
人間の一生が幾重にも折り重なって永遠に繋がっていく
私はこの作品から綺麗な織物をもらった
私はすでにその美しい織物の一部なんだ

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