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noteは畑だった|独立日記 本屋への道 028

2025.1.9(木)

坂口恭平さんの『土になる』が面白くて、何度も反芻するように内容を思い出してしまう。熊本で畑を始めた日記なのだが、DIYスピリッツに貫かれていて気持ちがよい。

野菜づくりも、本づくりも根っこは一緒なのかもしれない。

流通が発展し専業化が進むと、自分の口にするものがどこから来た何なのか、わからなくなるという不安がある。本も似ている。本はどうやって作られ、誰の手を通して、どのような過程を経て届くのか。読者として本に関わっているだけだと、ほとんど気にしなくていいのだ。

先日の製本イベントで、「どなたか会場に紙屋さんはいらっしゃいませんか?」という飛行機で医者を呼ぶ的な会話があって面白かった。製本業界と紙業界、門外漢からすると同じように見えていたのだが、畑が違うのだという。

私もまた編集者なので、完全な門外漢でもないはずなのに、隣の人が何をやっているのかわからないものなのだ。知らなくてもできるし、調べようと思わないと情報が入ってこない。

分断された作業工程で、疎外される人間。自分が何にどう関わっているのかの全貌が見えないと、本を作っていても不安になってくる。

生産することの喜びを取り戻す日々が綴られた日記を読んでいくと、働くことの不安が少し軽減した。そして私も毎朝畑を耕すように、noteで日記を書き続けている。

今noteが楽しいのは、私の家庭菜園を見つけたということなのかもしれない。自分のために耕して、収穫物を自分で食べて生きのびるためにやっている。そこでたくさん野菜が採れたら、誰か欲しい人にもシェアできる。

にんじん200円、ピーマン150円。野菜の販売所みたいに、noteを販売することだってできる。インディペンデント農家みたいで素敵じゃないか。野菜のように、心と体のためになる文章を書いていきたい。

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