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心理的境界と免疫について
岡田尊司『愛着障害と複雑性PTSD』(SB新書)を読了して思ったことを書いておこうと思う。
本書によれば、いわゆる愛着トラウマを抱えたり複雑性PTSDを発症する方は自他の心理的境界が弱く、「自分は自分、他人は他人」という発想が出てきにくいとのこと。そうした方々には身体の免疫が弱かったり、自己免疫疾患を発症する傾向も強いようだ。筆者はこの心理的境界と、免疫の問題はどこかリンクしているのではないかと思ったのである。
※「自己免疫疾患」とは・・・自分を守るための免疫が、却って自分を攻撃してしまう病気のこと。例えば線維筋痛症や膠原病など。難病も多い。
さて、免疫とは何か。単純化して書くと免疫とは、身体が細菌などを異物として認識し、健康のためにこれを排除する働きである。
この免疫の考え方をアナロジー(類似)的に解釈して、身体のみならず精神面にも援用すればどうだろう。つまり免疫が弱いという事を「自分と他者の間の線引きが弱く、他者に簡単に侵襲されてしまう」と考えれば、心理的にも自他の境界が弱いこととやはり繋がってくるように思われるのである。
自他の境界が弱いことは心理的な弱さに繋がりうるが、その一方で例えば「他者に対する分け隔ての無さ」「外の世界や自分の無意識へ没入できる」など肯定的要素もあるから単純に否定できない。ただ薄さによっては自分の苦しみも増してしまうので、自他の境界をある程度明確にすることで「心理的免疫」を上げる必要はあるのだろう。そうして守りを確保しつつ、必要なときには境界の強さを調節して肯定的側面を発揮できれば理想なのかもしれない。いわゆる「マイルール」が強い人などは、自分の境界の薄さを自分なりの厳しい線引きによって補償しているのではないかとも思える。
さて、もちろんこの記事は最近の筆者の主題である「境界」と関わりがある。筆者自身も心理的境界が弱いところがあり、身体面でも線維筋痛症などを患っているが、上記のような考えを巡らせることで問題の解決に近づけばと考えたのだ。同様の苦しみを抱える方々にとっても、何らかのヒントになれば幸いである。
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