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東京の解像度がやさしすぎて、温かすぎて、な春
どうも、西川タイジです。先日リリースしました私の作品『月と銭湯』を読んで頂いた方から、素敵な感想を頂きましたのでご紹介させてください。とても丁寧な感想(もとい書評)で、恐縮してしまいました…。嬉しいなー本当。
それでは、どうぞ。
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山本上京物語は、やわらかい。光を含んだあたたかい春の匂いや温度を、体にしっかりとまとわせながら、彼は東京にやってきた。
彼の雰囲気や持っている波長がそうさせるのか、登場人物みなが、自分の日常や好きなもの・嫌いなものをしっかり握りしめながら、自分の日常を生きている。それはとてもインデペンデントな生き方であり、各々の生活と生活が交差する日常の一点のなかに、ほの明るいやさしさを灯す。だれも無理のない距離間でつながりあっている。そんな何気ない人と人との距離感も含めて、物語全体の空気感が、とても心地がいい。
山本自身も快・不快にとても素直だ。考えすぎない、けれどしっかり納得をする。彼が淡々とつづる日常には、特別なエピソードや起伏はすくないけれど、そのなだらかな時間の流れを、彼自身はとても楽しんでいるように感じられる。これはこの本のなんとも不思議な、それこそ風呂上がりのような、とても健やかに心が整うさわやかさが得られる秘密だと思っている。
食べる、寝るにしても、その前後関係をひとつずつ丁寧に拾って、繋げる。心地よい選択をつなぎ合わせていくような感覚を、わたしは忘れがちだ。言語化しようにも、物語に綴ろうにも、山本のような解像度で、ほがらかに語れるだろうか。その一個のピースを、甘んじて微々たる妥協を許していくうちに、気が付いたら、どこにも「らしさ」のない選択をしてしまう。主人公の物語の中での、ささやかなチョイスの一つ一つが、彼の安全地帯を守り、読み手の心の中のないがしろにしていた部分に、ポツンと明かりを照らすのだろう。
生活を楽しむ彼の余裕は、五感を語感にじょうずに互換している。そんな、てらいなく自然に韻を踏むかのような「感覚のトランスフォーム」をうまくできるかが、生き上手というやつなのかもしれない。
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すっごくよかったです!!!!
風呂上がりみたいな、空気と心地に整いました。
生き上手小説、
これは西川さんの強みであり真骨頂だと思います。
川淵紀和
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『生き上手小説』…!新しいジャンルが…!
書いてくれたのは川淵紀和さんです。いつも本当にありがとうございます。
紀和さんの他の文章も、是非チェック頂ければ幸いです。
※以前、すなば『さよならシティボーイ』と西川タイジ『珈琲短編』への感想もお寄せ頂きましたので、合わせて是非。
■オフィシャル通販はこちらから。
それでは、また。
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