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目の前のひとをまっすぐ見て、気持ちをまっすぐ受け取るために

生まれてからずっと、愛に向かって生きている。愛情がほしくてほしくて、どうしたら満足いくぐらいたっぷりもらえるのか考えて行動してきた。相手の顔色を窺って、何を求めているのか察する。自分に期待されていることは何なのか思いを巡らせる。

「期待に応えたい」と思う気持ちは悪者扱いされがちだけど、悪いことばっかりでもない。このおかげで旨みを吸って生きてきたから、突然辞めるのは難しい。「いいこ」でいることで、期待に応えることで、受け取れてきたものがある。

無条件の愛、無償の愛がほしいと言いつつ、愛情は報酬としてもらえるものだと思い込んでいるわたしもいるんだと思う。何もしていないのに存在自体に向けられる愛に、「なんでそんなことしてくれるの?」と戸惑ってまっすぐ受け止められない。

またそんなこと言われたの?どうせ最初だけ、口だけだよ!今までも大好きって何度も言われてきたけど、みーんなすぐ冷めるじゃん。可愛くしようとか好きになってもらおうとか努力してるときじゃないと好きになってくれないんだから、それって結局好きじゃないよね?

わたしが好きでいてもらうためにがんばっているから好きでいてくれているだけで、努力をやめたら好きじゃなくなるんでしょ。見え方をちゃんと気にするわたしがいるから、ここまで来れただけ。

どうしてこう思うようになったのか考えると思い浮かぶのは、やっぱり親との体験でちょっぴり傷ついたわたし。ほんとうに小さなことの積み重ねだから、別に親が悪いってわけでもない。

わたしカプリコが大好きなんだけど、お父さんとスーパー行ったときにこっそり買い物かごに入れると怒られるんだよね。自分で買うんじゃなくてお父さんのかごに入れて買ってもらうことに、何かを求めているわたしがいる。

この前お菓子フェアに行ったんだけど、わたしが食べたいって言ったチョコケーキは結局ナシになった。「いいのないね、帰ろ」って言われたとき、「やっぱりあれ買って帰りたい!」ってもう一度言えなかったわたしがいた。自分で買うんじゃ意味がないとも思った。

隣でお母さんは心配そうにしていて、「あれ買わなくてよかったの?」と聞いてくれる。「ううん、いい。」ってぶすっと言ったけど、全然よくなかったらしい。ただケーキ1個買わなかっただけなのに、今でも恨みがましい気持ちでいる。

それはチョコケーキがほしかったわけじゃなくて、お父さんにチョコケーキを買ってもらうことで何か別のものを満たしたかったから。ちゃんとわたしの声を聞いてほしい、こっちを見てほしい、気持ちをわかろうとしてるよって見せてほしい、意識をこっちに向けてほしいんだと思った。

「そろそろ買ってくれてもいいのに」と思ったのが不思議、「そろそろ」ってなんだろうか。わたしの積み上げてきたものが、どこか一定のラインを超えたら認めてもらえると思っているのかもしれない。

わたしはこんなにやってきているんだから、そろそろケーキのひとつぐらい買ってくれてもいいんじゃない?と書いていて嫌になる、この気持ちはもう手放したい。

自分のなかの何かが反応しているだけで、実は何も起きていないのかもしれないと思い始めた。別にカプリコもチョコケーキもそのもの自体はそこまで大事じゃない。それを買ってもらうことで聞き入れてもらえた感覚になれると思っていたんだなあって。何も事件は起きてない、わたしのなかでだけ。

これがわかった状態でどうしたいのか思い描くと、もっと対等に言いたいことが言えるわたしでいたいと思った。ひとつの声に優劣や大小はなくて、わたしが勝手に自分の声は小さいと思っていただけだった。

だから聞いてもらえているか不安で、わかってもらえているか信じられなくて、勝手に上下関係があるような気がして、何もしていない相手を責めてしまっていた。

これから大事なひととの関係を育んでいくときに、ちゃんとフラットな関係だから大丈夫って何度も何度も自分に言ってあげたい。ちゃんと聴いてくれるひとだから大丈夫、わたしがちゃんと伝えたら大丈夫、って思うようにする。

こうやって、ひとつずつ自分のなかの地雷を撤去してるような気持ちがする。相手の問題じゃなくてわたしの問題だから、わたしのなかの地雷を撤去すれば平和に過ごせるんじゃないかと思って。

自分と他人が同じ生き物だと思うから、同じように考えて同じように行動して同じように感じることを期待してしまうけど、ちょうちょとトンボぐらい違う生き物だと思うことにする。

虫だけど、羽は生えてるけど、飛べるけど、足の数は同じだけど全然違う。同じようには飛べないし、同じものは食べないし、同じようには生きてない。そのぐらいの気持ちでいろんな違いを楽しめたらいいなあと思った。









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