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「シン・ウルトラマン」を観た方は、パンフレットだけでなく『デザインワークス』も手に取ってほしい(2022年映画記録 9)



●はじめに


 5月13日、映画「シン・ウルトラマン」を鑑賞した。
 5月中に片付けるべき案件が全く捗っていないが、かつて「シン・ゴジラ」に熱狂した俺にとって、製作発表時から待ち焦がれてきた念願の日が訪れたのだ。どれだけ忙しかろうと、公開初日に観ない理由がない。



 まだ鑑賞して一日も経っておらず、理解が追いついていない点が多々あるため、ネタバレを含む映画本編の細かな感想は本稿では述べない。良くも悪くも個性的で見応えのある映画であった、とだけは記しておく。
 つまるところ怪獣──否、“禍威獣”のユニークなアクションやウルトラマンの不気味かつ荘厳な美しさには非常に心惹かれたが、状況・心情の説明台詞と凝りすぎた不自然なアングルが異常に多くて鑑賞時のノイズになった…という具合である。
 点数を付けるなら100点満点で70〜75点の間(ちなみに「シン・ゴジラ」は90点)。様々な要素が水と油のように分離した、“快作”と“怪作”の狭間に存在する不思議な映画と表現したい。


●パンフレットだけでは物足りない


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 少しでも作品への理解を深めようと、俺は鑑賞後にパンフレットを一読した。しかし、心に何かが引っかかる。本作と非常に関わりの深い人物──脚本・製作を務めた庵野秀明氏(以下、庵野氏)のメッセージが、パンフレットには一言も記されていなかったためである(俺が手に取ったものが落丁本でなければ)。



 何故?製作途中で揉めたのか?等々の理由をつい勘繰ってしまったが、そもそも本作は庵野秀明氏ではなく、平成「ガメラ」シリーズの特技監督として名高い樋口真嗣氏が監督を務めた作品。監督ではないのなら寄稿が無くても不思議ではない…という考え方もできよう。ただ、「シン・ウルトラマン」内の“庵野要素”を追求したい方がいらっしゃった場合、パンフレットを読んだだけでは落胆してしまう可能性がある。
 では、庵野氏が本作に込めた思い、また「宣伝・撮影・キャスティング等、庵野氏は何にどこまで関わっているの?」…といった情報が一挙に纏められた書籍は存在しないのか?答えは否!



(※無論、パンフレットにもパンフレットなりの魅力はある。斎藤工氏を筆頭としたメインキャスト陣、樋口真嗣監督、主題歌を務めた米津玄師氏などのインタビューが記された貴重な書籍であることは間違いない。)


●『デザインワークス』に記された庵野氏の仕事


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 上記の情報は、劇場で販売されている真っ赤な表紙の書籍『シン・ウルトラマン デザインワークス』に記されている。
 本書は映画本編に登場するキャラクター・ガジェット等々のデザイン案の変遷に限らず、庵野氏が語る映画の製作経緯・初期プロット等々の貴重な証言が記録された、まさに“庵野要素”を追求したい庵野氏ファン必読の書とまで言い切れる資料集である。庵野氏ファンでなくとも、映画本編を楽しんだ方・深掘りしたい方であれば購入しない理由がない。少なくとも庵野氏の大ファンという訳ではない俺でさえ、本書は非常に有益な書籍であった。



 以下、興味深い情報の一例を抜粋する。
 ※映画本編のネタバレは記していないものの、書籍のネタバレとなりうる可能性があるためご注意下さい。















・元々、本作は続編(三部作構成)ありきの企画だった
・「シン・ゴジラ」にも続編企画が存在していた(現在は庵野氏の手を離れ凍結中)
・庵野氏は続編に前向き(文章を読む限り、二作目へのモチベーションが高いらしい)
・庵野氏が撮影現場に居たのは数日間のみ(「シン・エヴァンゲリオン」の多忙により、撮影より編集作業が中心に)
・脚本はキャスト陣が決まった以後に当て書きした箇所も存在する。なおキャスティングに庵野氏はほぼ関与せず
・スタッフロールに何故か●島●ず●氏の名が載っていた理由(…と思わしき記述)


 他にも数々の情報が存在するが、事細かに書きすぎては購買意欲・書籍の価値を激減させてしまう。それは俺の本意ではないため、抜粋はこの辺りに留めておく。



 ある意味映画本編に匹敵する面白さの『シン・ウルトラマン デザインワークス』。俺が本稿で推薦せずとも、ファンの方であれば当然購入済みであるかもしれない。しかしパンフレットだけを読んで“もしかして庵野氏って全然「シン・ウルトラマン」に関わっていないのでは…?”と思われた方がいらしたら、その考えを払拭するためにも本書をぜひ手にとって頂きたい。



※見出し画像はこちらより引用しました。


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