“やりたいこと”より“やるべきこと”を
“やりたいこと”と“やるべきこと”──。
当然ながら、俺たち人間は“やるべきこと”を優先しなくてはならない。
4月末から6月中旬頃にかけ、突然大量の仕事が舞い込んできた。
不慣れな内容の案件が多く、かつ本当に唐突過ぎて、一時は大層困惑したものだ。とはいえ、責任から逃れる訳にもいかず、社会人の端くれとして“やるべきこと”を全うするほかない。
ともなれば、日常生活への影響も多分に発生する。
余暇に割ける時間と心理的余裕が大幅に減ることにより、特に膨大かつ纏まった時間を使う“やりたいこと”──大作RPG系ゲームを諦めざるを得なくなってしまった。
具体的に述べると、以前より待ち望んでいたソフトの一本……5月12日にリリースされる「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」(以下「ゼルダ」)の“発売直後の即購入”を、断腸の思いで見送ることに決めた。
ここにその旨を記して、自ずから退路を断つこととする。
誤解を恐れず言えば、後に挙げる2本の大作ソフトよりも圧倒的な安心感──即ち“名作保証”があるのが本作である。
前作「ブレス オブ ザ ワイルド」はWiiU版・Switch版をそれぞれ1週(Switch版はDLCもプレイ)し、様々なやり込み要素もこなした上で、ハイラルの大地を存分に冒険させて貰った。その流れを組む作品ならば、面白いことは疑いようもない。本音を言えば早急に遊びたい。
とはいえ、俺にはそれでも我慢しなければならない(或いは我慢できる)理由がある。
前作と同等のボリュームと仮定するなら、メインストーリーを中心に楽しんでも1週約40時間。収集や探索を丹念に行えば倍以上の時間が掛かるだろう。これだけの超大作を遊ぶなら、時間に余裕がある状態で焦らずに楽しみたい。睡眠時間を削ったり、映画鑑賞・読書・執筆などに費やす余暇をゲームに割けば良いのだが、それは極力割けたい。この“時間の余裕”問題は、後述する“別の超大作RPG”とも関わってくる……。
また、本作のストーリーを一刻も早く知りたい……!という欲が、俺にはそれほど強く湧き上がっていない。いや、無論楽しみではある。確かに本作にも骨太で魅力的なストーリーが存在するだろう。事実、前作の“亡き英傑達”のエピソードや、“とあるコンプレックス”を抱えたゼルダ姫の痛々しい心理描写には感動させられたものだ。
一方、俺は今回のゼルダを、基本的には前作同様ストーリーより“収集や探索の楽しみ=自由な冒険”に比重を置いた作品と予想している。
様々な物語の謎を解き明かしたり、登場人物の生死に一喜一憂したり、伏線の回収に驚かされたり……。こうした要素を中心に味わう“ストーリー中心型”のゲームは、ネタバレを避けるため優先的に遊ぶ必要が生ずる。だが、そうでない(はずの)ゼルダなら我慢ができる。仮に多少のネタバレを喰らってもダメージは少ない……はず。
こうして諦めたゼルダに対し、忙しくても優先的に遊びたい“ストーリー中心型”のゲームがある。
まず、つい先日(4月26日)に配信が始まり、現在プレイ中の「ゼノブレイド3」大型DLC「新たなる未来」。
いかに忙しかろうとも、俺は本作を絶対に外せなかった。
「ゼノブレイド3」本編は過去作との繋がりも強く興味を惹かれる物語であったものの、恐らくDLC用に残しておいた“ストーリーの穴”が目立つ・ワンパターンな悪役など、手放しで傑作とは呼べぬ勿体なさを秘めた作品だった。
だが、実質的に「ゼノブレイド3-0」たるDLCで全ての謎が明かされ、嵌った穴から脱出できるかもしれない。その期待を込めて俺は本作を見送らず、配信後すぐに遊び始めた。エンディングの内容如何によっては感想記事を上げるかもしれない。
なお、前作「ゼノブレイド2」の大型DLC「黄金の国イーラ」の俺のクリアタイムは、記憶の限りでは約25時間。今回も同程度のボリュームだろうと予想している。なるべく早急に、かつ楽しみながらプレイすることにしよう……。
そして6月22日……。俺が多忙から解放され始める頃、待望の「ファイナルファンタジー16」が発売される。
こちらもゼルダとは異なり、完全にストーリー主導型のゲームと捉えて良いだろう。まだ全貌は明かされていないが、暗さと謎を秘めたシリアスな作風となるようだ。青年期→成年期→壮年期、という“年代ジャンプ”が事前情報で明かされている点も見逃せない。上記の時間経過、国を追われた王子が主人公、“弟が炎の怪物”に変身してしまう……といった点から、俺の愛するRPG「サガフロンティア2」(特に“ファイアブランドの悲劇”)を彷彿とさせる要素が見受けられるのも気になる。
FFシリーズのファンである以上、決してリーカーによる文章ネタバレや、動画等でストーリーを知ってしまってはならない。それらを何としても回避し、俺自身の手で物語を解き明かし、楽しむ必要がある。
俺は本作に期待を掛けているものの、正直なところ未だ100%の信用はしきれていない。主要制作スタッフはオンラインRPG「FF14」で大好評を博しているものの、オフラインFFシリーズの開発は初めてとなる。実力は未知数だ。そして広報Twitterから発信されるショート動画(華の無い画面のスクリーンショット、露骨な犬推し、武器屋道具屋アピール等)から、妙に“ツボを外しているな”と感じることもある。以前述べたようなQTE過多への懸念も拭い去れない。
だが、俺はそれでも信じたい。他者の感想ではなく、自分の手と目で確かめたい。「FF16」が10年20年と語り継げる、俺の心に残り得る傑作になっていることを……。
そんな「FF16」の想定クリアタイムは35時間らしい(ソース:ファミ通インタビュー)。まずはこちらを優先的にプレイし、場合によってはやり込み要素を楽しんだ後で、時間に余裕ができた頃にゆっくりと「ゼルダ」を楽しむ。これが俺の繁忙期後のゲームプランとなりそうだ。
……結論として、
このような理屈で、俺は無理矢理自分を納得させた。
もしも今月〜来月にかけて「ゼルダ楽しすぎる!やっぱり買ってよかった!」などと俺がつぶやき出したら、「あの野郎、誘惑に負けたな」と石を投げて頂きたい。
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