「かみかさ」第22話
翌日から、家でも学校でも、髪を一つにまとめた。
もちろん綺麗に切れてないからだ。
下の方で結んでいた。
大学は試験期間。
友達の美琴は言う。
「試験でも気合い入れる時は一つ縛り?」
試験が終わると、部活の引退式があった。
とはいえ、4年でも練習に来たい先輩は、練習に参加してもいい、という伝統があった。なので、涙のお別れ会と云う風ではなかった。
最後にレクリエーションとして4年生全員対1.2.3年生全員で試合を楽しくやった。コートは部員でひしめいていた。
その試合の時にはポニーテールに結び直し、そのまま帰った。
駅を降りると、土砂降りの雨だった。
梅雨明けしたのに、天気とは気まぐれだ。
傘なしで家まで帰る事にした。
数m歩くと、びしょ濡れになった。
構わなかった。気持ちは晴れやかだった。
仕事帰りの燈郎が、いのりを見つけた。
「いのりさん。」
名前で呼んでいた。
傘をいのりに、さしかけた。
笑っていても
歪んだ私
傘をさしかけてくれて
ありがとう
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ごめんなさい。詩に夢も憧れもありません。できる事をしよう。書き出すしかない。書き出す努力してる。結構苦しい。でも、一生書き出す覚悟はできた。最期までお付き合いいただけますか?