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#音楽 記事まとめ

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楽曲のレビューやおすすめのミュージシャン、音楽業界の考察など、音楽にまつわる記事をまとめていきます。
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2024年5月の記事一覧

バンドたちはなぜメシを食うアーティスト写真やMVを撮るのか

MONO NO AWAREの新曲「同釜」、そのミュージックビデオは“メシを食うこと”を中心に据えた作品だった。和中洋と次元を移ろいながらメシを食う。最後に演奏シーンがあり、そして高笑いする玉置周啓(Vo/Gt)もいる。異様なビデオだ。 このようにメシを食うミュージックビデオや、もしくはメシを食うジャケットのアートワーク、そしてメシを食うアーティスト写真などはバンドにおいては思いつく限りでもかなりある。これはどんな意味があるのだろう、と考えたくなった。 そこで上のツイートを

interview: レニー・クラヴィッツ/「時代は移り変わる。それでもロックンロールの精神は永遠に消えないものだと僕は思う」

レニー・クラヴィッツが6年振りに発表したニューアルバム『Blue Electric Light』がめちゃめちゃいい。レニーがレニーの「オレ道」を突き進んでいて、そこに迷いが一切ない。円熟味が増したと言えるところもあるが、それ以上に溌剌とした印象が強い。生気溢れ、躍動感が漲っている。「心も精神も肉体も、いまがいちばん状態がいい」。5月26日に還暦を迎えたレニーだが、まさしくその言葉の通りであろうことがアルバムを聴くとよくわかる。 バハマにいる彼にZoomでインタビューをした。

謎と文脈 -bar italiaとgreat area-

ミステリアスなbar Italia、謎に包まれたgreat area、謎が謎を引き寄せ香りを放ち、僕らはその匂いに吸い寄せられる。調べれば全てがわかりそうに思えるインターネット時代において、わかららないというのはなんとも新鮮で魅力的に思えてくる。神秘のベールに包まれているから知りたくなって、追いかけてわかったように思えてもすぐさま煙に巻かれてまたわからなくなる。その繰り返し。Dean Blunt and Inga Copelandの時代からそれらはずっと続いている。 そんな

FUJI&SUN '24

2024年5月11日(土)~12日(日) 静岡県富士市「こどもの国」で、「FUJI&SUN'24」。 このキャンプフェスに参加するのは、2年振り、2回目。 自然が豊かで、環境としていい。なのにそこまで人が多くなく、一定のリラックス感(いい意味での“ユルさ”)が保たれている。子供連れも多く、親も子もみんな生き生きと楽しんでいる。同じ時間帯にライブがそんなに重ならない。メインステージでのヘッドライナーのあと、キャンプサイトではDJがまわして野外クラブ的に盛り上がる時間もある

「レコード芸術」への思い~元編集者の立場から

音楽之友社を辞めて24年間、フリーランスとして生きてきた。 クラシック音楽業界を足場としながらも、いろいろな出版社や新聞社、そして放送局とも仕事できるようになったのは幸いだった。美術や演劇や舞踊など、隣接するいろんな分野ともかかわりを持てるようになった。 音楽之友社に在職したのは13年間。私にとっては懐かしい、卒業した学校のような場所といえるかもしれない。 6年くらい前からは再びご縁があり、アドバイザー的な感じで毎月会議に参加させていただいている。外部からのさまざまな意見を率

interview KEYON HARROLD"Foreverland":シンプルなものを作ろうとすればプロセスは複雑になる(7,500字)

ネオソウルが好きな人なら、ディアンジェロの来日公演でロイ・ハーグローヴの後任として演奏していたトランペット奏者を覚えている人も少なくないだろう。そのポジションはキーヨン・ハロルドの立ち位置をわかりやすく示している。ディアンジェロのみならずマックスウェルやビヨンセ、PJモートン、コモンなど、多くのアーティストがキーヨンを起用してきたからだ。彼はロバート・グラスパー世代のトップ・トランペット奏者として、R&Bやヒップホップを彩るホーンセクションの一角を担ってきた。 また彼はロイ

¥300

読むナビDJ 9:オリンピック音楽 - 過去記事アーカイブ

去る9月7日、2020年開催の東京五輪が決定しました。今の日本の状況で五輪開催をやることの是非の議論もありますが、オリンピックというスポーツの祭典そのものに関しては、みなさん心ワクワクする人が大半ではないでしょうか。 そんなオリンピックは、スポーツだけでなく音楽も注目されるイベントになってきています。とくに1984年のロサンゼルス五輪以降はエンターテインメント性も高くなり、開会式や閉会式はまるでコンサートのような演出を行い、テーマソングも大々的にフィーチャーされるようになり

【一部公開】プッシー・ライオットの不朽の美学──『読書と暴動 プッシー・ライオットのアクティビズム入門』解説文(清水知子)

***  ソウ・スウィート・パブリッシングは2024年4月30日に、ロシアのプロテスト・アート集団=プッシー・ライオットの創立メンバーであるナージャ・トロコンニコワ著『Read & Riot: A Pussy Riot Guide to Activism』(2018年)の翻訳版『読書と暴動 プッシー・ライオットのアクティビズム入門』(野中モモ訳)を刊行しました。  この本は、プッシー・ライオットの創立経緯や、かれらがロシア国内でおこなったアクションの数々、さらにロシア当局

Childisc

竹村延和が「子供の視点に基づいた音楽」「アマチュアリズム」などを掲げて完全自主レーベル、Childiscを立ち上げたのが「こどもと魔法」リリース翌年の1998年。彼のファーストアルバムのタイトルが「Child's View」、セカンドアルバムのタイトルが「こどもと魔法」と、彼の永遠のテーマとも言えそうな「こども」をレーベル名にも冠してスタートするわけですが、レーベル一枚目のコンピレーションを聴いて、竹村さんの姿勢や無名の新人達をフックアップするのだという気概みたいなものもここ

【Dontae Winslow】カマシ・ワシントンのトランペッターを掘り下げる

カマシ・ワシントンの新作『Fearless Movement』がリリースされましたね。 カマシについてはいろんなところでいろんな人が書いていると思うので、ここでは先行カットの「Prologue」で鮮烈なソロを披露していたトランペッター、ドンテ・ウィンスローのキャリアを掘り下げていこうと思います。 ドンテ・ウィンスローはジャズ・トランペッターでありながらエミネムやDr.ドレのオーケストレーションを手掛け、ジャスティン・ティンバレイクの右腕としてツアーを回っている、という話を

和レゲエ数珠繋ぎ-第48回- hiotoko

兵庫県 hiotoko アーティスト名  ミッキーカーティス&ポーカーフェイス 曲名 奴隷の島 発売年 1976年 1950年代後半からロカビリー歌手として、日本の歌謡曲界を牽引してきたミッキーカーチスさん。数々のバンドを率いてロック人生を謳歌してますが、今回紹介する曲はまさにルーツレゲエ。歌詞はもちろんですがリズムもゆったりまったり歌謡レゲエでしょう。ミッキーカーチス&サムライにはジャズロック、後にはキャロルや小坂忠さんなどを送り出してるのは後世に残る上に、俳優や落語まで

Local Visions Presents "視覴的" at CIRCUS TOKYOレポート

4月13日(土)、東京のクラブ「CIRCUS TOKYO」で行われたイベント「Local Visions Presents "視覴的"」に行ってきました。そのレポートです。 執筆・編集:アボかど|写真提供:Local Visions 全国から多彩な面々が集まるLocal VisionsLocal Visionsは非常にユニークなレーベルだ。発起人のsute_acaは島根在住だが、先日もう一人の主催として新たに加わったTsudio Studioは神戸、共にプロデューサーユニ

¥100