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#音楽 記事まとめ

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楽曲のレビューやおすすめのミュージシャン、音楽業界の考察など、音楽にまつわる記事をまとめていきます。
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2024年3月の記事一覧

音楽は誰のもの|Snarky Puppyの来日公演

 グラミー賞の常連、Snarky Puppyの5年ぶりの来日公演はBillboard Liveにて、いまや貴重なクラブ開催となった。前回、2019年はQUATTROとCITTA'というライブハウスでのオールスタンディングだったことを思うと、着座でじっくりと堪能できることがありがたい。自らがフェスを主催し、ライブレコーディングを好むご機嫌なパフォーマンス・コレクティブを今回このようなスタイルで迎えられるのは、日本の音楽ファンの懐の深さもあるのだろう。東京、大阪と即日完売し、ひそ

テイラー・スウィフトと「偉大なるアメリカの終わり」

柳瀬さんが書いていたテイラー・スウィフトの話。とてもおもしろかった。 僕もいろんなところでテイラー・スウィフトについて書いてきたけど、特に日本のマスメディアでは「経済効果!」みたいな取り上げ方ばかりだよなあと思っていた。音楽そのもの、曲そのものがフックになるよりも、現象ばかりが取り沙汰されているというか。 https://newspicks.com/news/9519009/ それはそれで非常に興味深いことなんだけど、それ以上に語るべきは、アメリカで共有されているテイラ

【オールナイトクラブ後に行きたい!】東京都内近郊で朝風呂営業をしている銭湯7選!

私の趣味は銭湯巡りと音楽ライブです。 ライブ後に入る銭湯は格別以外の言葉がありません。特に絶対風呂に入りたくなるタイミングはオールナイトクラブ後です。 趣味の友達を見ていても、オールナイトクラブ後は「デカ風呂」と呼ばれるようなスーパー銭湯に行く人達が多いように思います。 そこで今回はライブ会場を起点として、オールナイトクラブ後に朝から行ける銭湯を紹介します!  クラブ後にぜひ訪れてください! ※なお、クラブ後にアクセスできることを重視しているため、朝9:00以降のオープン

interview ULYSSES OWENS Jr:僕がやるべきは"ユニークな声を持った人々"を助けること(1,0000字)

名ドラマーのユリシス・オーウェンスJrが新たなグループ《Generation Y》を結成し、『A New Beat』を発表した。音楽的にはビバップ/ハードバップを基調にしたオーセンティックなジャズの現代版なのだが、僕はこのアルバムを聴いてものすごくテンションが上がった。すごく興奮した。 その理由はこのバンドのメンバーにある。クレジットを見るとそれなりのジャズ好きでもおそらく聞いたことがないだろう名前がずらっと並ぶ。それは当然で、多くのメンバーがまだ音源をリリースしていない、

¥300

ジョニ・ミッチェルの『BLUE』

 『Blue』は地味なアルバムだと思っていた年月が長かった。初めて聴いたジョニ・ミッチェルのアルバムは『Ladies Of The Cannyon』。高校入学したばかりの15歳の時だった。衝撃だった。こんな曲作り、こんな歌い方がこの世にあるのだと思ったし、ローレル・キャニオンの一軒家で暮らすジョニとグラハム・ナッシュに強烈な憧れも抱いた。ジョニのような才気溢れる女性の傍らで、グラハム・ナッシュみたいに軽いボケをかます男になるのが理想と思ったりした。いや、これは今でも変わってな

ロッド・スチュワート@有明アリーナ

2024年3月20日(水・祝) 来日公演は13年ぶりとのこと。そうか、最後に武道館で観てからもう13年経つのか。確かにずいぶんと久しぶりの感があるし、これが最後の来日公演とも言われている。自分は特に70年代後半から80年代後半にかけて、まあまあ熱心にロッドの作品を聴いていた人間だ。近頃の単独来日公演は高額のものが多く、ダリル・ホール&トッド・ラングレンもボズ・スキャッグスもエルヴィス・コステロもブルーノ・マーズもジャネット・ジャクソンも観たいと思いつつ高額故に見送ったんだが

Fairground Attraction "What's Wrong With The World"

Fairground Attraction "What's Wrong With The World" 35年ぶりの再結成と新曲発表という信じられないようなニュースを聞いて、とても楽しみにしていたFairground Attractionの新曲が遂にリリースされた。 "What's Wrong With The World" 「世界で何が起こっているの」と訳せば作者であるMarkや、歌うEddiの今の気持ちのようなものが伝わるのかな? 歌詞を全部訳してはいないのでなんとも言え

HACOへのロングインタビュー!生い立ち、作曲への初期衝動、アフター・ディナー結成からソロまで、その軌跡を辿る

アヴァンポップ・グループ、アフター・ディナー(After Dinner)やホアヒオ(Hoahio)での活動が世界的に注目されている、音響系ミュージシャン、HACO。音楽活動を開始した80年代初頭から現在に至るまで、ソロ・コラボレーション問わず、数々のプロジェクトを展開し、近年はサウンドアートの文脈でライヴ・インスタレーションやレクチャー、ワークショップも精力的に行うなど、活動の幅を広げています。  HACOは1995年、ミディ・クリエイティブ(MIDI Creative)よ

この一枚 #15 『Café Bleu』 スタイル・カウンシル (1984)

1984年3月にリリースされたスタイル・カウンシルのデビューアルバム『Café Bleu』。この3月で40周年を迎え、ネットでもお祝いが相次いだ。ジャムを解散したポール・ウェラーの渾身の意欲作であり、ステンカラーを颯爽と着こなしたウェラーがファッションリーダーとして君臨するきっかけともなる。パンクから一転してR&B、ソウル、ジャズと様々な音楽要素を詰め込んだ音楽性が、80年代に与えた影響力は絶大だった。 『Café Bleu』40周年ユニットの先駆け この連載もいつしか8

interview Taylor Eigsti:『Daylight At Midnight』からグラミー受賞、『Plot Armor』まで

21世紀以降のジャズを振り返って、特に印象的なアルバムをリストアップしていくとしたらテイラー・アイグスティ『Daylight At Midnight』は必ず入るだろう。 ルーファス・ウェインライト、ニック・ドレイク、エリオット・スミス、イモジェン・ヒープ、コールドプレイ、ミュートマスのカヴァーを含むこのアルバムにはジャズがより自由になり、どんどんハイブリッドになっていった2010年代のムードが完ぺきに収められている。ブラッド・メルドーがレディオヘッドやニック・ドレイクをピア

¥500

Refeeld インタビュー 2002年生まれ、「ローファイヒップホップ・ネイティブ」のトラックメイカーが伝えたいインスト音楽の面白さ

私が「サウンドパックとヒップホップ」と「極上ビートのレシピ」の連載を行っていたメディア「Soundmain Blog」のサービス終了に伴い、過去記事を転載します。こちらは2023年1月23日掲載の「極上ビートのレシピ」の第1回です。 SpotifyやApple Musicといったサブスクリプション型ストリーミングサービスの浸透以降、リスナー数が急成長したインストヒップホップ。ここ日本でも活気溢れるシーンが形成され、その中から国境を越えて大きな支持を集めるビートメイカーも増加

¥100

interview AMARO FREITAS"Y'Y":先住民族について話し、それをポリリズムを使って表現することは私の使命

2023年のFESTIVAL FRUEZINHOでの来日公演で多くのリスナーを驚かせたアマーロ・フレイタス。あの日のパフォーマンスはこれまでアマーロのアルバムを聴いてきた人にとってはそれなりに驚きのあるものだったのではなかろうか。いくつかの曲で彼はプリペアドピアノを駆使して、自身の音をループさせ、時にピアノを打楽器のように使いビートを組み立て、時にピアノから神秘的な響きを鳴らし、不思議な世界を作り上げていた。今思えばあれは2024年の新作『Y’Y』のサウンドを先出ししたような

¥500

映画『エリス&トム』と「三月の水」のベースライン

 渋谷ユーロスペースでブラジル映画祭。『エリス&トム』を観てきた。天才二人がオフで好きな歌を歌ってるシーンとか、気絶しそうなくらい良かった。ブラジル音楽の好きな人は必見だ。  ただ、字幕は酷かった。エンジニアのフンベルト・ガティカが今の音楽はコンプレッションが強くて、と眼前に手をかざして説明してるのに、「今の音楽は要約されている」とか。果ては「三月の雨」というのが二回も出てきた。ブラジル大使館も絡んだ日本語版の上映で、誰も気が付かなかったのだろうか。  ジョビンが1970年

interview: Merchantとして1stソロアルバム『Dolphin Sane』を発表した栗田将治(Glider/Hedigan's)に聞く。

*この記事は有料設定をしていますが、全文無料で読んでいただけます。でも「読めてよかった」「面白かった」と思っていただけたならば、金額のところをクリックしてご購入いただけると、とても嬉しいです。あなたのドネーションが次のnoteのインタビュー記事を作る予算になります。 目が覚めてほんの数分。まだ夢と現実のあわいにいるようなそのときの感覚を音楽にするなら、こんな感じかもしれない。メロウで、やわらかで、シュールで、曖昧で、漂っていて、あたたかで、気まぐれで、時間感覚の失われた音楽

¥150