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#音楽 記事まとめ

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楽曲のレビューやおすすめのミュージシャン、音楽業界の考察など、音楽にまつわる記事をまとめていきます。
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2022年8月の記事一覧

ある男性音楽ファンがENDRECHERIとKinKi Kidsのライブを観た夏の記録

先日サマソニでENDRECHERIのライブを観て感想をツイートをしたら、通知が止まないほどの反響があった。 彼がどういう音楽をやっているかは理解していたつもりだったし、サマソニ前にはサブスクで予習もしていった。音源では打ち込みも多用していて、どちらかというとミニマムなサウンドを想定していたのだが、実際に観てみると大きく印象は変わった。フジロックのFIELD OF HEAVENで、アメリカの田舎から来た知らないバンドが鳴らしていそうな大所帯モノだったのだ。しかも堂本剛 wit

水曜日のカンパネラ・ケンモチヒデフミが語る、良い音・良い曲の作り方

水曜日のカンパネラでほとんどの楽曲を手がけるトラックメイカーであり、さまざまなアーティストへの楽曲提供やサウンドプロデュース、さらにはCM音楽や映画の劇伴など、活躍の場を広げているケンモチヒデフミさん。彼の音作りのこだわりや「良い音」の定義とはどんなものなのか。制作方法や考え方、そのルーツについて聞いた。 <取材・執筆:山田宗太朗 / 編集:小沢あや(ピース株式会社)> 「組み合わせの暴力」が持ち味のトラックメイカー2000年代にはガットギターを軸としたクラブミュージックを

CDジャケットを作るときのデザイナーの頭の中

こんにちは。デザイナーの市角です。 普段はデザインや映像を作りながら、 大学で准教授としてデザイン思考について教えてみたり、デザインの考え方とやり方を学生さんや企業、自治体さんに伝えたり一緒になって考えています。 その一環で、デザイナーがどんなふうに考えているのか、 思考プロセスを文章化したほうが良いよなと思いnoteに書いていくことに。 デザイナーの頭の中を公開するシリーズ。 今回はCDジャケットです! 今回のクライアントさんは、 チューリッヒで活躍していた日本人クラ

岡田拓郎のこと。そのルーツと人

はじめに 岡田拓郎。この生粋の音楽家/ギタリスト(…時に文筆家でもある)は、デビューしてから10年ほどのコンパクトなキャリアの中で、綺羅星のような珠玉の作品たちを世に送り出し、また、今を映した時代の音楽の探求者として、誠実な葛藤を続けてきた稀有な存在だ。エリック・クラプトンやデュアン・オールマンといった、在りし日のギター・ヒーローたちをルーツに持ちながら、はっぴいえんどを端に発する日本語でのメロディーと作詞の融和性/調和性へこだわり、ジム・オルークを通して出会った数々の実験

Interview 挾間美帆:about テレンス・ブランチャード、ジョン・バティステ、ヴィンス・メンドーサ

挾間美帆が毎年、池袋の東京芸術劇場で行っている「NEO-SYMPHONIC JAZZ at 芸劇」が「TOKYO JAZZ 2022 NEO-SYMPHONIC!」として今年も開催された。 挾間美帆が選んだ「ジャズとクラシックが融合した曲」を、東京フィルハーモニー交響楽団とジャズ・ミュージシャンを組み合わせた特別編成のオーケストラで演奏する企画で、4回目となりかなりこなれてきた今年はテーマを”映画音楽”に設定した。 とはいえ、「マイ・フェイバリット・シングス」や「ムーン・

¥300

星野源の音楽と共約不可能性

 科学哲学の分野には、「共約不可能性」という概念がある。もともとは、“いかなる整数比によっても表現することのできない量的関係”を表すための数学用語であったが、人文科学ではしばしば、この「共約不可能性(通約不可能性とも)」という用語が、別のパラダイムを背景に持つ他者との分かりあえなさや、他者理解、共感の限界を示す言葉として使われる。  そして私は、“共約不可能”という事態について考えるとき、ふと、星野源(敬称略)のソロデビューアルバムの一曲目、「ばらばら」(2010)のことを

【イントロダクション公開】 No.167 特集「60年代ソウルの基礎知識」

ブルース&ソウル・レコーズ No.167では60年代ソウルを大特集しています。代表的アーティストの紹介と重要アルバム・ガイドをメインに、各種コラム、レーベル・ガイド、関連地図や年表も掲載した60年代ソウルの入門編として楽しめる内容です。 特集の冒頭に掲載したイントロダクションとなる一文を少しアレンジしてここにお届けします。 60年代ソウルのポジティヴなエナジー 60年代ソウルにはポジティヴなエナジーを常に感じてきました。気持ちをたかぶらせるホーンの調べ、ぐいぐいと前に進

Scott StorchのThe Roots Type Beat

西海岸のラッパー、The Gameが新たなアルバム「Drillmatic – Heart vs. Mind」を先日リリースしました。

¥100

yumbo『いくつもの宴 multiple banquets 1998─2021』について

『参加者が増えると新しいメロディーが出てくる』 本作に当てられたオーディオコメンタリー中、ドラマーの山路智恵子からふいに発せられる言葉である。全63曲・収録時間6時間弱に及ぶyumbo初の映像作品集『いくつもの宴 multiple banquets 1998─2021』を、ひいては20年以上に渡りyumboというバンドを (もっと言うと澁谷浩次という音楽家を) 駆動させてきたものが何たるかを表現しようとしたとき、果たしてこれ以上の言葉があろうか。 先のコメントが生まれたの

『アフロフューチャリズム ブラック・カルチャーと未来の想像力』著者インタヴュー

本日2022年8月26日、『アフロフューチャリズム ブラック・カルチャーと未来の想像力』がフィルム・アート社から出版されました~(パフパフパフパフゥ~~)!! 共通の友人がいることもあり、著者のイターシャ・L・ウォマックさんに話を聞くことができました。訳者あとがきにも彼女の発言を引用しましたが、せっかくなのでここに残りの会話も載せておこうとおもいます(情報は共有するためにある!)。編集もない長い文章になってしまいますが、アフロフューチャリズム、ブラック・カルチャーについて興

KAISHI「LIVE FOREVER」全曲解説

福岡出身で現在は東京を拠点に活動するラッパー、KAISHIがリリースしたEP「LIVE FOREVER」のプレスリリース文章を担当しました。各種配信サイトで聴ける・ダウンロードできます。 新鋭ラッパーのKAISHIは8月24日(水)、自身初のEP「LIVE FOREVER」をリリースする。 KAISHIは福岡出身で現在は東京を拠点に活動するラッパー。少年院への服役など壮絶な生い立ちがストレートに反映されたリリックを、エモーショナルに歌い上げるようなメロディアスなフロウで聴

¥100

講師として学んだ、サロン一期目

前回の記事で、作曲家・音楽プロデューサーKOTARO SAITOとしての自分、シンガーソングライターleift(レフト)としての自分を切り分けた故の自由な精神について書いた。 今回は、音楽プロデューサーとして過ごしてきた、 3ヶ月について書いていこうと思う。 思想を共有し、ともに具体化するシンガーソングライターとして、ゼロから再スタートのアーティストになる。そう決めたとき、これまで磨き上げてきたプロデューサーとしての自分が何をすべきだろう、と考えた。 日々、クライアント

#3 管楽器と弦楽器は、同志だ。

チェロもホルンも、つまるところは体力勝負。勝俣泰(以下、勝俣):僕ら、普段はあまり接点はありませんね。だから今日は楽しみにしてきたんです。 藤村俊介(以下、藤村):弦楽器と金管楽器は、練習でも演奏中でも位置が離れていますから。 ──楽器の違いについて伺いたいのですが、普段の手入れの仕方や、演奏するまでのウォーミングアップなどもかなり異なるんでしょうか。 藤村:弦楽器はナーバスですね。湿気があると、段ボールで作った楽器のように鈍い響きになることもあるんです。でも僕の楽器は

Jimi Hendrix から見る音楽史

・はじめに  皆様、ご無沙汰しておりました。音楽史シリーズも3回目ということとなり、だいたい2回で飽きてしまう私からするとある意味での節目を迎えております。さて、前回のThe Smithsから見る音楽史のイントロ部分では音楽の扱われ方について述べましたが、ここで重要になっていくのは、アルバムとシングルの関係になっていくかと思います。  なぜならば、両者の違いとは収録枚数、つまり再生時間に差があるため、アルバムのほうがより鑑賞にかかるコストがかかり、アルバムとシングルの扱われ