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【東洋の奇跡】超訳 言志録 第十八条

幕末の名著「言志四録」に学ぶ
東洋の生き方学 No.18

言志録 第十八条
『奇跡について』

人智を超えた特別な出来事
人はそれを「奇跡」と呼ぶ。

奇跡の〇〇と呼ばれるモノは皆、
触れる者の心を震わせ感動させる。

この条文では、
自然の道理を体得することによって、
奇跡は生ずると、佐藤一斎先生は述べている。

「自然の道理を体得する」とは
一体何なのか?どういう状態なのかを考えたい。

川を例に挙げよう。

街に川が流れている。
そこには沢山の魚達が泳ぎ、
魚達の餌になる虫や藻が生えている。
そしてまた、川の至る所には魚の隠れ家となる水草が生えている。

さて、この例に登場した
「川」「魚」「虫」「藻」「水草」は
誰のために存在しているのか?

川は川以外の存在のために存在しているのか?

答えは否ではないか。

川は川として存在し、
ただ流れることに徹している。

ただ流れることに徹する中に、
様々な恩恵が生じている。

これが自然の道理ということではないか。

つまり、各々が各々の役割を果たす中に、全体との調和が生まれる。
これが自然の道理である。

人間がこの道理を体得するとは、
「自分のために」「誰かのために」
という、二元論を超えた概念を体得するということである。

自即他(自分即ち他者)
他即自(他者即ち自分)

利他の心、奉仕の精神が礼讃されるが、
利他の本当の目的は、
手放し難い「自己」を手放し
利他に徹する中に「自己」を見出すという
「自と他の調和」にある。

利他や奉仕はプロセスなのではないか。

詰まるところ、
己の役割について考え、
その役割を生き切るのみなのである。

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言志録 佐藤一斎著 第十八条
【原文】
凡そ事の妙処に到るは、天然の形成を自得するに過ぎず。
此の外更に別に妙無し。
【訳文】
世の中の全てのことについて、その玄妙なる領域に至るということは、
自然の道理を自得することに他ならない。
この外に、特に妙ということはない。

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