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【神田カレースタンプラリー(23)】SADEC TOKYO

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2024年10月中旬

派遣社員である私の仕事は暇を極めていた。
取引先の仕事をチェックするのが私の仕事なので、先方から進捗が送られてこない間はずっと待ち。
1人で複数の案件を受け持っているが、全て待ちになることもある。
「なにかできることありますか」と聞いてみても、どこからも仕事は回ってこない。
1つの案件は1人が一貫して担当する決まりになっており、誰もキャパオーバーしないようにたくさん派遣を雇っているので、どこにも仕事は余らないようになっているのだ。

やることがないからと言って帰るわけにもいかない。
メールチェック、コーヒーを飲む、トイレに行くを繰り返し、時間が過ぎていくのを待つ。
10時から18時半まで。
世の中には、やってもやっても終わらない仕事に追われて辛い思いをしている人がたくさんいる中、「暇すぎて辛い」なんて罪のような気がする。
今日も昼休みだけが、私が申し訳なさを感じずにいられる唯一の時間だった。

今日伺うのは「SADEC TOKYO(サデック トウキョウ)」に決めた。ベトナム料理のお店だと神田カレーグランプリのガイドブックに書いてある。

店に着くと、入り口が広く開け放たれ、黄色の壁が印象的な明るい雰囲気の店内がよく見渡せた。
お店の中には日本人じゃなさそうなお客さんもちょこちょこ居る。
私が案内された壁際のカウンター席には、他にもお一人様の女性がたくさんいて安心感がある。

メニューを見ると、このお店のランチの売りは「フーティウ」というベトナムの麺料理のようだ。たくさんの種類があり、フーティウ単品なら1000円くらいの価格帯。
神田カレースタンプラリー対象のメニューは、
「チキンカレーハーフ&フーティウハーフセット(1300円)」か「牛肉カレーハーフ&フーティウハーフセット(1480円)」のどちらか。少しお高めになる。
一応店員さんにも聞いたが、カレー単品は無い。
フーティウ不可避。フーティウってなんだ?

後で調べたところ、ベトナムには米で作った麺にたくさんの種類があり、フーティウはその一つらしい。
ベトナム北部(ハノイなど)が発祥とされるフォーは日本でもかなりメジャーだが、フーティウは南部(ホーチミンなど)が発祥で、フォーが生麺なのに対しフーティウは乾麺のためコシのある食感や歯応えが楽しめる。
まだ日本ではあまり馴染みがないので、「SADEC TOKYO」は東京で本格フーティウが食べられる貴重なお店のようだ。

ごはん少なめ女に、カレーとフーティウのセットは多すぎる気がして怯む。
しかし、今日のような日のためにいつもごはんを少なめにしてきたのではないか!
と、意を決して「チキンカレーハーフ&フーティウハーフセット」を注文。
フーティウはたくさんの種類があり迷ったが、一番未知な感じがしたので「ホルモンフーティウ」を選んだ。
ドリンクかデザートが付くとのことで、デザートを選択。この日のデザートは「タピオカココナッツミルク」だそう。

チキンカレーハーフ、ホルモンフーティウハーフ、デザート

来たのがこれ。
これで、ハーフ…?
とっても大きい器に入った自称「ハーフ」のカレー&フーティウ。
デザートもしっかり楽しめそうな量。

まずはカレーを食べてみる。
あ、なるほど。ベトナムだからココナッツカレーか?と期待したが、違った。
おいしい。普通に。けどなんというか、「市販のカレールー」で作った感じというか。
一点興味深かったのは、カレーに入っていた鶏肉。
くるくる丸めたものを厚めの輪切りにして、チャーシューのような状態で入っていた。
この鶏肉がプルプルで美味しく、どことなくベトナムっぽい感じがした。
別のメニューのために仕込んだものをカレーに流用している?

そして気になるフーティウ。
一口食べて感動した。おいしい。最近食べた麺料理でダントツでおいしかった。
つるつるでコシのある麺もおいしいし、ホルモンもいろんな食感が楽しめておいしい。
上に載っているネギやパクチーもエスニックな風味をしっかりプラスしてくれている。
スープには多様な出汁に加え、恐らく化学調味料チックなものも入っているのだと思うが、どうだろう。私は美味しければ良い派。一生飲める。

このお店は、カレーで勝負する気は多分無い。
カレースタンプラリー目的で来た人を、フーティウのファンにすることだけを目的にしている。
私はまんまとフーティウの大ファンになってしまった。
次来たらどのフーティウを食べようか、ちなみにベトナム旅行っていくらぐらいかかるのかを考えていた。

カレーをぺろりと食べ終え、食べても食べてもなかなか減らないフーティウを懸命に食べすすめた。
満腹。熱々のフーティウを一気に食べたので、汗が噴き出る。

別腹の神に懇願し、別腹の門を開けていただく。
デザートのタピオカココナッツは、甘くて冷たくておいしい。
流行りの大きい黒いタピオカではなく、白い小さなタピオカだ。プチプチした柔らかめの食感。
上に載っている砕いたナッツとの相性も最高。
デザートは日替わりで「今日のベトナムぜんざい」を用意しているそうなので、次回も是非食べたい。

ランチを終えて職場に戻る道中、私は喉元までタピオカが出かかりながら、小さな感動に包まれていた。
カレースタンプラリーをやっていて良かったと心から思った。
カレースタンプラリーをやっていなかったら、このお店に来ることは無かったと思う。
フーティウに出会わず生涯を終える可能性があったなんて。

つい最近先輩派遣の東さんに言われた「発信したほうがいい、noteでいいから書いたほうがいい」という言葉を思い出した。
書いてみようかな、と初めて思った。
別にカレーに詳しいわけでもない、社内ニート派遣社員の私なりに、何を思ったか書いておこう。
今日のことを覚えておくことは財産になると確信を持てた体験だった。


この日ランチしたお店

SADEC TOKYO

📍Google Map

🍛神田カレーグランプリ SADEC TOKYO

【いただいたメニュー】
チキンカレーハーフ&フーティウ(ベトナム米麺)ハーフセット 1300円

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