『あり金は全部使え』は、日本人のお金や時間の使い方に改めて警報を鳴らしている
堀江貴文『あり金は全部使え』読了。
普段のホリエモンをウォッチしていたら目新しいことを説いているわけでもなく、ただただ普段から彼が言っていることをまとめた本に過ぎません。
しかし書籍を読むことで、改めてそのマインドが刷り込まれるし(宗教ではない、復習だ)、解像度も上がりました。
ということで、日本人のお金や時間の使い方に一石を投じている本書について、振り返りたいと思います。
『アリとキリギリス』のキリギリスは悪なのか
本書は寓話『アリとキリギリス』の話からスタートします。
アリは冬に備え、あくせくと準備しているのに対し、キリギリスは刹那にその場を楽しむ。
ホリエモン曰く、これこそが今の日本の【貯金信仰】な話であると。
そして私も幼心にこの寓話を聞いて、少なからず疑問を抱いていました。
その場その場を謳歌するキリギリスを称賛しているわけではないのですが、冬に備え、ただあくせくと準備している蟻に対して「何を楽しみに生きているのだろう」と。
私は生まれてこの方、ずっとキリギリスマインドな生活をしてきたと思います。学校はおろか、受験勉強や就職活動などの多くを放棄して(楽な方に流して)、嫌だったり辛かったりするものは徹底的に避けてきました。たまに「短絡的すぎる」とお叱りを受けながらも、同じような生き方をしている根源にはずっと同じものがありまして…
それは「どーせいつか死ぬのに」という想い。
人間はいつか死にます。しかもいつどこで死ぬかわからないのです。
「努力は報われる」という言葉は美しく見えますが、志半ばで死んでいった人間を何人も見ていますし、その努力が楽しいと思えるなら、する意味、する価値はあるかもしれませんが、大きい会社に入るために、心の中で「意味がない」と思いながら続ける勉強など、私には生まれ変わってもできません。
努力しないと手に入らないものもたくさんあるので、努力している人を否定しているのではなく、私はできないというだけ。
そしてそれを放棄する考え、キリギリスマインドもダイバーシティの生き方の一つとして否定されるべきではありません。
ちなみに「いつか死ぬ」というのは、決してネガティブなものではなく、「だったら未来のことばかり考えるのではなく、今を生きよう」と。
少し本書の意図とズレつつあるので戻しますが、食べ物がなくなる冬なんて、現代、ましてや日本にはもうありません。
本書が説いているのは「有り金を全部使って貧乏になれ」と言ってるわけではなく、有り金に固執することなく、今を生きるためにそれを惜しむなということです。
堀江「キリギリスはお金を使いまくって、遊び続けていいのだ」
貯金はするな、家は買うな、飲み会に行け
ホリエモンは大学生以降、貯金を一切やめたといいます。
そしてそれは今振り返っても正しかったと。
お金を使って得た経験は、その時にしか得られない出会いやコミュニケーション、興奮や体験につながっており、それは今、同じ額を投じても得られないと言います。
家を買うなということについても、ホリエモンウォッチャーなら、今更話ではありますが、ホリエモンが家を買うことを勧めない理由はざっくりこんな感じ。
・固定資産税がかかる
・ローンの金利も取られる
・建物の価値は年々減価
・地価の変動リスク
・消耗箇所のメンテナンス
・ライフスタイルの変化への対応
多くは他でもあれこれ言われていることなので、一番下だけサラっと。
所有者が高齢になってきて、階段が辛くなったり、バリアフリーを導入したりと、ライフスタイルの変化への対応が困難というもの。
これはこれからの日本で数多く見受けられるようになるかもしれません。
また個人的に思うのは、ライフスタイルの変化だけでなく、家族構成の変化などもかなり影響してくるなと。
例えば親2人子2人の4人家族で住んでいたとして、子供がいつまでもその家に住む可能性はかなり低く、多くは出ていきます。そうなった時に、無駄なスペースが生まれるのです。逆に、親が亡くなった場合なども同様。
多くは家を変えなくてもなんとかなるパターンだと思いますが、その都度適切に引っ越せたら、その方がベストではあるはず。
また、同じ家に30年40年住んで飽きないか問題や、隣人トラブル等があった場合に気軽に引っ越せないなど、ざっと思いつく限りでも、やはり【夢のマイホーム】より、気軽にできる賃貸、もしくは家を持たないなどの生活スタイルの方が、個人的にも楽だし楽しいと思います。
また別の章で「飲み会に行け」という話も書いています。
ここでいう【飲み会】とは、昔の友達との飲み会ではなく、レイヤーの高い、面白い人がいる飲み会のこと。
そういう人がくる飲み会でする情報交換は非常に刺激的なだけでなく、磨かれた目でジャッジしてもらえるのが有益とのこと。
10年前の私は、たしかに貯金こそしていませんでしたが、この【体験】にお金を払うことがあまりありませんでした。要するに【目に見えるもの】こそがお金を使う場所だ!みたいな笑
具体的にいうと洋服や音楽機材。洋服は単純に気分が高揚したし、飽きたら中古で売っても損をしないレベルの洋服を買っていた(場合によっては買った金額より高く売っていた)ので、あまり「お金を使った」という感覚がありませんでした。
音楽機材も同様。当時は【いかに良い音で聴けるか】みたいなことに固執していて、たくさん買っていましたが、音楽機材もなかなか値崩れしません。(タイミングによっては買った時より高く売れた)
飲み会などの【体験】にお金をほとんど使ってこなかったのですが、じゃあ10年前に戻って、飲み会に生きまくっていたら、何か新しい発見をしたかと言われれば、それはわからないし、大きな後悔もありません。
今は人との出会いを昇華させる方法を昔よりは学んだし、ホリエモン曰くの「飲み会に行け」はとてもよく理解できます。
堀江「つまらなかったら、二度と行かなければいいだけ」
何でもやれ、ブレーキを壊せ
ホリエモンに限らずですが、SNS界隈の人たちは、ブレーキを自ら壊し、何でもやっている人が多い印象です。(そういう人が目に付きやすいのもある)
私も食らいつくイメージで、感度を上げ「面白いな」と思ったものは積極的にやってきたつもりです。「やらなくてもわかる」は極力排除し、やったことによる結果で得た体験・知見はたしかに大きいと思います。
多くの人はリスクを恐れて実践しなかったり、そもそも興味が湧かなかったり…
もちろん、興味ないものに無理やり興味を持つ必要などありません。もしかしたらその時は突然訪れるかもしれないし、今ではないのでしょう。
しかしこのインターネット社会、情報を浴びていれば、面白いなと思えるものは、いくらでも発見できます。
それが新たな興味の種を生み、思いがけない成功体験を生む可能性もあるのです。
堀江「意欲の循環に入ろう」
あり金は全部使え
本書では他にも、以下のような、お金で解決できるものはお金で解決し、時間を買えと書いています。
マインドとしてはとてもよくわかります。
また、多動力を遂行できるだけの体力作りのためにジムへお金を使えという章や、オヤジにならないよう、オシャレにお金を使えなど、ホリエモン視点でのお金の使い方がたくさん書かれています。
【お金は信用の数値化】という表現は、昔からホリエモンがよく言っている表現ですが、単純に「お金持ちになりたい」ではなく、「お金を使って何がしたいのか」「どう生きたいのか」を明確にし、お金に囚われず、本当にやりたいことに囲まれて今を生きれるようにという想いが込められた一冊になっています。
興味のある方はぜひどうぞ。
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