(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)
以前、茂木健一郎さんの著作はかなり集中して読んだことがあるのですが、このところちょっと離れていました。
本書は昨今話題の「AI」がテーマになっているとのことなので、久しぶりに手に取ってみました。
人工知能/人工意識についての入門書的な本とのことですが、茂木さんの考察・立論の中から押さえておきたい説明や指摘を覚えとして書き留めておきます。
まずは、「人工知能の最適化」におけるポイントについて。
次に「意識」について。
本書のタイトルは「人工知能」ではなく「人工意識」です。“意識”が中核テーマなので、議論を始める基本として「意識の定義」を明確にすることは最初に取り掛かることだと思うのですが、その点について茂木さんはこう語ります。
とのことですが、少々「入門書」の書き方としては乱暴な印象を受けました。
もちろん、
といったように、このあとあれこれと「意識の性質」や「意識の機能」については解説していますが、これもなかなか難解で私の頭では追いついていけません。
事程左様に、本書で展開されている議論は、正直なところかなり理解しづらいものでした。当然その最大の原因は私自身の基礎的な知識や理解力の欠如にあるのですが、それでも部分的にはすっと腹に落ちる解説もありました。
代表的なものが「自動運転と倫理」に関する説明です。
このくだりの前後には具体的な事象例がいくつも示されていたこともあり、この説明ぐらいですね、何とか茂木さんのロジックについて行けたのは。
本書で展開されている議論を辿っていくためには、「意識」という概念の理解が不可欠なのですが、私の場合、そこに至っていないのが致命的です。以前の茂木さんの本に登場していた「クオリア」はともかく、本書で頻出する「志向性」「身体性」の意味するところがどうもきちんと頭に入ってきませんでした。
そういった今後に続く “理解すべき課題” を明らかにしてくれるという点で、本書はまさに優れた「入門書」だったということですね。