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マチズモを削り取れ (武田 砂鉄)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 いつも利用している図書館の新着書リストの中で見つけて手に取った本です。著者の武田砂鉄さんは以前から気になっていたライターさんなのですが、彼の著作を読むのは初めてです。

 テーマは「マチズモ」
 恥ずかしながら、私には初見の言葉でした。“男性優位主義” の意とのことで、武田さんはジェンダー平等意識後進国である日本における「マチズモ」の実態を次々に顕わにしていきます。

 確かに、今でも様々なシチュエーションで理不尽な扱いを受けている人がいます。
 「マチズモ」は「ジェンダー」に係るものに限らず、本書で紹介されているような組織内や運動部内での指導者や先輩/OBの態度としても残っています。理不尽な環境が「当たり前のもの」とされている “場” も数々あります。政治の場、経済団体、寿司屋、高校野球・・・。

 武田さんは、本書の中でこうコメントしています。

(p253より引用) 今、男性が、男性であるという理由だけで獲得してきた権威がようやくグラつきつつある。男同士の契りで動かしてきた護送船団社会に、もうそういう社会ではないのではないでしょうか、と疑いの目が向けられ始めている。既存の権威を撥ね除けようとする力に対して、男たちは一丁前の能書きを用意して抵抗する。だが、ただそこにいるだけで自分の立場が保証される場所、というものを、新しい社会システムはどんどん切り崩していく。これでいいのだ。

 そう、当然のことです。
 先に読んだ中島岳志さんの「思いがけず利他」でも感じたことですが、ともかく、今の男性中心の社会には、「自分の立場は偶然によるものだ」と考える “謙虚さ” と「他人の立場を慮る」“想像力” が決定的に欠けているのでしょう。

 かく言う私も、まだまだ意識の底には旧来からの滓が残っています。
 意識して「逆に振ったところ」を立ち位置にしなくてはならないと、折に触れて自省しているところです。



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