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アー・ユー・ハッピー? (矢沢 永吉)
(注:本稿は、2016年に初投稿したものの再録です)
今、矢沢永吉さんは66歳(注:2016年当時)。
ちょっと前に彼の特集番組を見て、結構いい刺激を受けました。ということで、手に取ってみたのがこの本です。
もう10年以上前の発行なので、執筆は50歳になった時分、今の私よりも5・6歳若いころです。
期待通り、全編 “YAZAWAワールド” ですね。本書の中でも、「矢沢永吉」はロックンロールしています。ただ、そこでの語りは、今でもトップスターの座をキープし続けているその矢沢さんの言葉だけに重みがありますね。
(p3より引用) いまだから、そう言えるけど、ほんとに紙一重でがんばってきたからですよ。・・・負けたら、次は負けないようにしよう、失敗したら、どうして失敗したのか手探りで探るよね、誰でも。
そういうことを、ひとつずつやってきたのよ。『成りあがり』の主人公の永ちゃんだって、そこは同じ。
自分が納得できる最高のステージをやりたいとう強烈な思いで、コンサートの制作まで自分でやろうと動き始めた矢沢さんですが、当然、勝手もわからず数々の困難にぶち当たりました。
会場一つ押さえるもの大変でした。縁を切ったイベント会社からの嫌がらせもあったようです。
(p120より引用) 「会場を貸すともめますよ」とご注進するキョードー大阪に、この館長がひとこと、言った。
「いや、私が館長を務めている間は、矢沢さんは別に問題ありません」
オレはこの話を人から聞いたときすごくうれしかった。
本気でがんばっていたら、ちゃんとわかってくれる人は必ずいるんだ。
大阪城ホールの館長は矢沢さんの理解者でした。
矢沢さんは、こういったイベント企画そのものも自分で手掛けましたが、「矢沢」の著作権・肖像権・版権等の権利のマネジメントも他人任せにしませんでした。「YAZAWA」という自分自身の商品価値を大切にし、それを守るためにあらゆる権利を自分のコントロール下に置こうとしたのでした。
これは、二度にわたる信頼していたスタッフの裏切りという痛手も一因ではありましたが、常に最高のパフォーマンスをファンに見せることを最優先に考える矢沢さんの信念に拠るものでもありました。
(p134より引用) キャラクターグッズの管理まで自分でしようとすれば、それだけ手間は増える。だけど、苦労がいらないことが正しいとはいえない。苦労は面倒くさいけど、でもそれだけのものだ。苦労してでも、手間をかけてでも、正しいことをやった方がいい場合もある。・・・
矢沢が管理するのは商売だけじゃない。矢沢のプライドもそこに入っている。矢沢もファンに負けたくない、ファンの信頼を裏切りたくないというプライドだ。いいものを出さなきゃいかん、間違ったものはいけないということだ。
そして最後は、矢沢さんから世の “オジサン” へのエールです。
(p269より引用) 改めていま、おじさんのツッパリを見せなきゃいけない時期に来ているんだと思う。あえて「ツッパリ」っていう言葉をもう一回使いたい。おじさんのツッパリだ。
おじさんのツッパリっていうのはマジだ。命かけている。おべんちゃらじゃ済まない。ダメだったからといって、知らん顔して逃げるわけにはいかない。子どももいれば、女房もいて、会社もある。それでもしまいに頭に来て、お膳ひっくり返したいこともあって、だからツッパリだ。・・・
突っ張るってことは倒れないようにしようとすることだから、前に出るしかない。
今の日本の元気のない中年の人たちこそ、ツッパらなきゃいけない。今ツッパらなきゃいけない。
私も、まさに「日本の中年おじさん」です。
この本が「日経BP社」からの発行というのも、頷けるような気がしますね。