生まれたときから「妖怪」だった (水木 しげる)
(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)
久しぶりに近所の図書館に行ったとき、館内の企画コーナーで見つけた本です。
「ゲゲゲの鬼太郎」の作者として有名な水木しげるさんですが、激烈な戦争体験をはじめとした水木さんの想いや言葉は、以前からとても気になっていました。
本書でもそれは大いに語られています。
まずは、水木さんの戦争体験にまつわる想い。
水木さんは鳥取連隊に入隊し「ラッパ卒」に任じられました。しかしながら水木さんは上手くラッパを吹くことができません。ラッパ卒を辞めさせて欲しい旨人事係に具申したところ、なんと南方の最前線に送られてしまいました。
そして、もうひとつ、水木さんが「幸福」について語ったくだりから。
終戦で最前線の戦場から奇跡的に生還した水木さんは、紙芝居絵師、貸本漫画家、雑誌漫画家として働きました。しかし暮らしは苦しいままです。
そして、ようやく雑誌への掲載のチャンスを得て、それを機に、ついには妖怪ブームを牽引する人気漫画家として筆を振るうことになります。
水木さんが、何とか「貸本漫画家」ら抜け出し、「駆け出しの雑誌漫画家」として悪戦苦闘していたころのことです。
「結果はその人の努力の結果とは違う」という現実を心に刻み込んだうえで、「自分がしないではいられないことをし続ける」ことを貫き通し、そこに自らの「幸福」を認めた水木さんでした。
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