(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)
いつも聞いているpodcastの番組に著者の小川さやかさんが登場して、本書の内容のさわりを紹介していました。それでちょっと興味を持ったので手に取ってみました。
私の今まで抱いていた常識とはまったく異なった世界での活き活きとした生活模様はとても刺激に満ちています。
まずは、“魔窟” ともいわれる香港のチョンキンマンションを中心に暮らしているタンザニアの人びとの「思慮深い無関心」について。
そして、そういう摩訶不思議な関係性を認めていながらも、結局のところ「窮地にあるときには助け合う」のです。
ここには助力するにあたっての「厳密な基準やルール」はありません。「私があなたを助ければ、だれかが私を助けてくれる」「最終的にはいろいろな事情があるんだから、細かいことをいうのはやめようぜ」といった緩いルールでの行動規範が実効性の高い互助機能として活きているのです。
とても興味深い仕組みですね。
今日のインターネット上には多彩な「個人情報」に加え個人個人の「信用スコア」により格付けられた経済圏が生まれています。そのアンチテーゼとして「チョンキンマンションのボス」の “アングラ経済モデル” はとても人間らしく魅力的に映ります。
この小川さんの評価ですが、いかがでしょう、みなさんはどう思いますか。