ラジオのこころ (小沢 昭一)
(注:本稿は、2012年に初投稿したものの再録です)
小沢昭一さんの本は、「道楽三昧―遊びつづけて八十年」に続いて二冊目です。
本書は、40年にも及ぶTBSラジオの名物番組「小沢昭一の小沢昭一的こころ」で語られた話題の中から、小沢氏自らが厳選したセレクションとのこと。取り上げられてた材料はまさに種々雑多?、その料理の仕方も多種多様です。
もちろん、小沢さんの語り口も絶妙なのですが、そのほかにも、ちょっとした薀蓄ものも楽しいです。
たとえば、栄養学の川島四郎さんによる「人間の理想的な食事」についての紹介。
こういった庶民的な話題や語りは、事実か否か、説得力の有無などということはともかく、ただただ聞いているだけでほのぼのとした気持ちになれます。
ちなみに、本物の「小沢昭一の小沢昭一的こころ」のラジオ放送は、TBSラジオのサイトで(過去の音源ではありますが)聞くことができます。(注:2012年当時)
やはり、小沢さんの魅力はその「語り口」にあります。口語体とはいえ「活字」を目で追うのと、あの声をあのテンポ・抑揚・間を感じながら聞くのとは全くの別物と言っていいでしょう。
(本書を読んでいたころは、小沢さんは健康上の理由でラジオ放送を休演されていましたが、12月10日、83歳でお亡くなりになったとのこと、心からご冥福をお祈り申し上げます。)