しらずしらず ― あなたの9割を支配する「無意識」を科学する (レナード・ムロディナウ)
(注:本稿は、2020年に初投稿したものの再録です。)
レナード・ムロディナウ氏の本は、以前にも「この世界を知るための 人類と科学の400万年史」「たまたま―日常に潜む「偶然」を科学する」という2冊を読んでいます。
本書もまずはタイトルが気になって手に取ってみました。
テーマは「無意識」です。
とても興味深い “人間のもつ「無意識」の機能” が紹介されています。
たとえば、感覚器で捉えた生情報をイメージとして意識する前に補完処置する “日常世界を「モデル化」する脳” について。
これにより、より少ないデータや部分的な情報から完成形に近い?像をイメージすることができるようになっているのです。
また、「分類」というステップを経た “人間の認知プロセスの功罪” について。
カテゴリーに分けるという方法は、カテゴリー内の対象物を “似たもの” として省力化してとらえることができますが、逆に、いったん異なるカテゴリーだと整理されてしまうと “異なるもの” だとのバイアスがかかって、ニュートラルな理解や判断の妨げになるとの指摘です。
これが「固定観念」「ステレオタイプ思考」を生み出す一因にもなるのです。
そして、どうやら人は無意識のうちに自分に都合のいい考えを抱くようです。望んでいることを真実であると信じ、それを正当化する証拠を探すのです。
自分に都合のいいように解釈するのではなく、実際、無意識がそういう “像” を作り上げているというのが驚きですね。
さて、本書を貫いている著者のメッセージは、「無意識の肯定」です。
“無意識” は、自分に都合のいいように “意識” に働きかけます。それは、人にとって、未知の将来に対峙するにあたってのとても大切な “前向きのエネルギー” にもなるのですね。
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