(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)
出版当時、非常に話題になった本ですが、数年経った今でもまだ図書館の貸し出しでは待ち行列が続いています。
私もユヴァル・ノア・ハラリ氏の著作は以前「21Lessons:21世紀の人類のための21の思考」を読んだことはあるのですが、遅ればせながらこちらの本も読んでみることにしました。(私が聞いているpodcastの番組でPeter Barakanさんも推奨されていました。)
内容はとても濃密なので気になったところを書き出していると際限なくなります。
まずは、著者が歴史の大きな節目として示した “3つの革命” を押さえておきます。
まず最初の「認知革命」ですが、著者は、ホモ・サピエンスに及ぼしたそのインパクトを次のように指摘しています。
神話にもとづく「見知らぬ人どうしの協力」が、ホモ・サピエンス独特の進化のドライブとなったのです。
そして、次は「農業革命」。
著者によるこのイベントの評価は、私が抱いていた既存イメージを一変させるものでかなり刺激的でした。
過去より現在、現在より未来は “より幸福になる” といった無思慮でリニアな歴史観の否定です。
この記述に続く「小麦の栽培」にかかる記述はさらにショッキングですね。
完全に今までの理解を覆されました。著者は、この “農業革命の意義” は「以前より劣悪な条件下であってもより多くの人を生かしておく能力」だと看破しています。
3番目は「科学革命」。
進んで「無知」を認める意思をスタートに、人類は新しい知識の獲得を目指しました。そのために近代科学は「観察結果」を収集します。そういう科学の成果は数学により「包括的な説」にまとめられ、それを活用した新しい力の獲得・テクノロジーの開発につながっていくのです。
これら「3つの革命」を経て、著者は、“未来のサピエンス像” についてこう語っています。
さて、本書を読み通して、私の関心を惹いた著者の「思考スタイル」に関するコメントを最後に書き留めておきます。
“歴史を考える” ことの意味についての指摘です。
今の世界は、“成るべくして成った” わけではなく、“偶然の産物” に過ぎないということを意識すると、“価値観を相対化” することができます。
これはとても大切な視点ですね。