新しい道徳6 (文部科学省検定済教科書)
(注:本稿は、2020年に初投稿したものの再録です。)
図書館でも実際に学校で使っている「教科書」を借りることができるということなので、ちょっとトライしてみました。
小学校6年生用の「道徳」の教科書です。
まず、最初に「道徳学習の目的と学習姿勢」について書かれています。
そして、教材ですが、教室での進め方として、たとえば、こんなふうに書かれています。
違和感がありますねぇ。ここまで細かく「こうするんですよ」と示すやり方は、 “ひとつの望ましいと規定している型にはめていく” ようで、どうもにも気持ちが悪くなります。
「ほかの人から言葉のプレゼントをもらった人は、「言葉のプレゼント、 ありがとう。」と言って受け取ります。」とかになると、意味不明ですね、頭がクラクラしてきます。
6年生にもなると結構自我もしっかりしてきているでしょう。こんな「取ってつけたお芝居のようなセリフ」を言わせて・・・、彼ら彼女らはこれで素直な気持ちになれるでしょうか?、彼ら彼女らの精神的に自立した成長に役に立つでしょうか?
もうひとつ、「せんぱいの心を受けついで」とのタイトルの教材から、気になったくだりを書き出してみます。
ここに至っては、完全に「ある価値観」を称揚していますね。
その価値観の是非が問題ではありません。こういった進め方で、子供たちは “自分で考えた自分の価値観” を築くことができるでしょうか。ひとによっては、「伝統墨守」よりも「因習打破」という考え方があってもいいはずです。
道徳教材の作りを辿ってみての感想です。
児童に「自分で考える」姿勢を身に着けさせようと目指していることは認めます。そのこと自体は絶対的に正しいことですが、それに止まらず、さらに「考える内容や方向」まで規定しようという意思がどうにも教材から透けて見えてきます。
私は、それは決して望ましいゴールではないと思います。