転身力 -「新しい自分」の見つけ方、育て方 (楠木 新)
(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)
いつも利用している図書館の新着本リストで目に付いた本です。
昨今の新書にありがちな「●●力」という “いかにも” といったタイトルの本ですが、それだけに、どの程度在り来たりの内容なのか、それともハッとするような気づきが得られるのか、著者の楠木新さんには大変失礼ではありますが、天邪鬼的興味も持ちながら手に取ってみました。
人事・労務系のキャリアを積まれた楠木さんからの数々のアドバイスの中から、私の関心をひいたところを2・3、書き留めてみましょう。
楠木さんは、会社員時代の40歳後半、体調を崩して長期休職した経験があります。「うつ状態」でした。
そのときの経験をこう語っています。
これは、なるほどという指摘です。
リセットして「スタートライン」自体を変えるということですが、そこには「過去を捨てる」という大きな決断を伴う心理面の切り替えが必要なのですね。
そして、それが「転身への決意」の大きな要素になります。
このハードルが最も高そうですね。何かを捨てるといっても、「最低限の生活」や「家族」といった最終的に無視することができないものも抱えているのが現実です。
となると、やはり転身がうまく行かなかったときの「戻り先」の有無は決定的に重要になります。この備えが、楠木さんが「AとB並行」型を勧める所以でもあります。
さて、本書を読んでの感想です。
さすがにご本人の実体験にもとづく内容なだけに、紹介されているアドバイスは具体的でリアリティがあります。同じような例示がたびたび登場して少々冗長なところもありましたが、十分有益な刺激になりましたね。
私も、この1年のうちには今の会社員生活に “一区切り” をつけ、さてこれからどうするかを決めなくてはならないステージにあります。
とはいいつつ、私自身を振り返っても何の特技もありませんし、これといってやりたいことも思いつきませんから、このままだと絵に描いたような典型的な “濡れ落ち葉(単なる無職・在宅リタイヤ生活)” に落ち着いてしまいそうです。
何かやり始めると “やりがい” は付いてくるように思うので、まずは何かをやることですね。
「やること」が決まっていない以上、そのための具体的な準備はできませんから、いままで “受け身” で過ごしてきたツケが溜まっているのですが、まずは「やれそうなネタ捜し」から、ボチボチと始めてみましょう。