(注:本稿は、2024年に初投稿したものの再録です。)
最近聴き始めたpodcast番組で「玄奘三蔵」の解説をしていて、その人物と業績に興味を持ちました。
「大唐西域記」にトライしようかとも思ったのですが、まずは「玄奘」その人に焦点をあてた新書レベルで様子をみようと手に取った本です。
ともかく、“途轍もない人” ですね、玄奘という人は。
仏法のみならず諸学を極めた卓越した知力、そしてどこまでも根源に迫ろうとする止めどない探求心、それを行動にまで導く強靭な意思。
本書で紹介されている玄奘の数々のエピソードの中から、特に私の関心を惹いた2つのシーンを覚えとして書き留めておきます。
まずは、玄奘が経を求めて西域へ向かう決意の場です。
幼い頃より俊才の覚えめでたく、国内各地の高僧の元を訪れては教えを受けていた玄奘、23歳のときです。
こう考えた玄奘は、国法を犯してまでも遥かインドを目指し旅立ちます。26歳、貞観元年8月のことでした。
そして、もうひとつ。
幾多の困難の後、インド国内各地を巡りつつ修養を積んだ玄奘は、いよいよ帰国する決心を固めます。
ナーランダーでの師長老戒賢とのやりとりです。
その後、貞観19年、帰国した玄奘は、皇帝の勅許を得て持ち帰った経典の翻訳に着手し、齢63歳でこの世を去るまでこの大業に余生を捧げました。