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【全文公開】 CHAPTER 2-04 構造設計から紐解く魚のさばき方

デザイン読書日和」という同人誌即売会&交流会で出典した『 田舎暮らしを科学する仕事っぽくないデザイン』(¥300)全60Pのスローライフエッセイ、全文公開チャンレジです。

今回は、子供の頃においてきた視点の再回収である昆虫採集と生態観察の楽しさについて語った、CHAPTER 2-04 構造設計から紐解く魚のさばき方の記事公開です。

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CHAPTER 2-04 構造設計から紐解く魚のさばき方

もし生活拠点が港が近いならぜひ水産で直接魚を仕入れてみましょう。魚の仕入れやさばくというデザイン行為を通して共有すると新たなスキルと認識の獲得ができ生活の幸福度が少し向上します。スーパーよりも新鮮で得られる情報は料理を更にありがたく美味しく感じさせてくれるでしょう。

CHAPTER 2-04-01 構造を知るために魚を仕入れてさばいててみる

加賀市に腰を落ち着けてからは毎日水産に通っています。動機としては新しい習慣づくりとして魚をさばくことを構造設計的なアプローチで身に着けたかったからです。前章で紹介した分類学やプロポーションの話に準じると魚も種の分類によって生態をはじめ骨格など身体的な特徴から味まで、ある程度知識を元に推測ができるようになります。結果的に短期間で多くの種類をマスターしました。そして実践を通して骨や身の繊維にどのように刃を通し、どの様な手順であればより早くキレイに解剖できるかなどを掘り下げました。

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参照 : 奥倉魚仙『水族寫真』より「鯛名所図会」

CHAPTER 2-04-02 みんなで体験知を共有する

水産では実際に生きたまま持ち帰ったり、その場で神経締めをして血を抜く光景を目の当たりにします。状態が良ければ台所で刺し身になりきるまでピクピクと動いていることも珍しくありません。命を頂いているのだと実感し、それが日常に近い距離になったときに食材や料理に対する向き合い方が変わります。出来なかったことを出来るようになったり、知らなかったモノに対する深い認識得られることで心地よい達成感は得られます。これがフロー理論であり。人間的に生きるモチベーション/幸福度を向上させるものであると言えます。さばくというデザイン行為は、実は概念的あり洞察の得方もそれぞれ違うことから、体験をシェアできるとより向上するでしょう。

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図:加賀市漁港から魚を都内で暮らす複数知人デザイナー宅に贈りオンラインでペワークをするイベント


CHAPTER 2-04-03 構造・機能を段階的に紐解く

デッサンなどを通して観察の訓練をしてきたかたでなければ日常的な視点は魚の表面的なデザインのみを捉えて、内臓や骨格を考えることはないでしょう。プロダクトの設計と逆になりますが、魚構造を紐解くと内臓のレイアウトや機能、骨格の配置と耐久度など認識したい項目によってレイヤーやカテゴリが大きく変わることがわかり、いかに生態は緻密に設計されているかと気づかされます。。アニメ『天地創造デザイン部』のように神様が意図して設計したのではないかと思いたくもなります。

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参照 :小学館、NATURE自然大博物館(1992)

CHAPTER 2-04-04 先人の知恵に頼る

知識を身につけ理屈でわかっていても実践してみると上手くいかなかったり、先んじて世の中にノウハウがなかったり変異種などイレギュラーな個体が出てきたりします。個人的には魚捌く系YouTuberで著名な「気まぐれクック」氏による動画解説を参考に一連のフローで確認し、動きをトレースするような手法が、先んじた知識と相まって身につきやすいこと、答えをみずに失敗する経験をしたほうが記憶にも残りやすいと感あげます。

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図: 普段から食べない毛ガニをどうしていいかわからない上にトゲトゲで痛い

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参照: 魚捌く系YouTuberで著名な「気まぐれクック」氏による動画解説

まとめ

リモートワークがあたりまえになってきたからこそ、現代的に効率化された食生活の中に、「自宅で魚をさばく」という昔ながらの日本人のスタイルが復興してきた気がします。僕も去年だけで1000匹ほどの魚をさばき、定番からキワモノまで色々な魚にチャレンジしました。

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ときおり記事で紹介している僕がはじめたサービス「旬の魚ガチャ」では、都内にすむ友人に橋立漁港のお魚を新鮮な状態でおくる取り組みをはじめました。

オンラインで同じ体験を共有する、工夫を語りあう。最近はそんな体験が最近心地よいです。これもまた地方暮らしがデジタル化した社会に良い方向で可能性を感じられる良い機会となりました。

次回に続く @norinity1103でした。

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