はじめての4人家族体験。
我が家は3人家族なのだけど、先日のゴールデンウィークに1日、妹宅の2歳児(男の子)を預からせてもらった。
その前の2日間はみんなで遊んだりしてたから、もうお互いに慣れたもの。
昔あげた息子とお揃いの帽子をかぶってきてくれて、誰がどこから見ても兄弟のふたり。我が家にとってはわくわくの4人家族体験である。
「ちょっと今イヤイヤがすごくてすぐ爆発するから、大丈夫かなぁ」
妹は心配していたが、これがもう、ほんとうに白目を剥くほどややこしかった。
時たま、イヤヨォ〜とかいう2歳児ではない。
でっかい7歳児(通称:もんくたれぞう)のほうである。
まず、とにかくうるさい。これに尽きる。
2歳児に足を踏まれるたび大騒ぎ。
「みて!ママみて!ぼく足ふまれちゃってるよぅー!」
「いたたたたぁっ!つねるのやめてよぉー
みて!ぼくのひじをつねってる!血が出そう」
「あつい」
「つかれた」
「のどがかわいた」
「こっちがいい」
「もうやりたくない」
「えいちゃんだけずるい」
もんくたれぞうの本領発揮、なにをしても文句が止まらない。
転ぶのひとつ取ったって、何もなかったかのごとくスッと自分で起き上がる2歳児の横で、
「痛いよぉぉー、骨が折れてるー!立てない、ママ!見てぇー」
近くに行くまで倒れ続けて起き上がらず
とにかく、「大変なことになっている自分を見てほしい」7歳児。。。
息子としても、いつもと勝手が違うのだ。
転んだら大丈夫?と心配してもらえるはずなのに、なぜか今日は両親そろってほぼ無視である。笑
自分でサッと起き上がる2歳という比較対象ができてしまったことで、いや、あんたはもう7歳なんだから…という気持ちがどうしても出てきてしまうのだ。
そうこうしてるうちにスネ夫モードに突入。
「ママもパパも、そんなにやさしい声がだせるんだねー、えいちゃんにはとってもやさしいのにぼくにはいっつもこわい声だねー」
いや、いつも優しいやないかい。
なんだか、やたらと夫と目が合う。
ちょっと、2歳より7歳のほうがはるかにやばくないか?
7歳のほうがずっと大変なんですけど。
2歳のこのたくましさを見よ。
比べて、わが息子はどうだ?
こどもの前じゃ出せない声が喉元まできて、思わず夫を見ると、そのたびにバッチリ目が合う。笑
あっちを立てればこっちが立たずの中、
公園や遊び場に行き、わちゃわちゃとファミレスでごはんを食べ、2歳を送り届けた。
帰り道、息子が車内で寝たところで夫と改めて頭を抱えた。
いつも息子を中心にしすぎていて気がつかなかった。私たちは、ひとりっ子を甘やかして育てすぎたのではないか。
息子のうれしい!たのしい!を優先し、満たすことばかりを考えてきてしまったけれど、それよりもこれからは我慢や心身の強さを育ててあげなければいけない。
自分中心の環境が当たり前だと思わせてはいけない。
暗澹たる気持ちになって深く反省しあい、帰宅したところで妹から今日のお礼と3日間の写真が送られてきた。
落ち着いたとこで、写真をゆっくりと振り返る。
息子だって、がんばっていたのだ。
2歳に自分の大好きだったおもちゃをあげ、遊びかたを教え、絵本を読み聞かせ、やりたいことをゆずり、叩かれたり踏まれたり、大事な物を投げられても最初は我慢していた。
だけど、3日のうちにその小さな我慢タンクはとうにいっぱいになって、あふれ出してしまったのだ。
私たちがいきなり2人の子の親にはなれなかったように、息子だって突然お兄ちゃんにはなれない。少しずつ、少しずつ、時間をかけてお兄ちゃんらしくなっていくのだろう。
我が家ではきっとこの先も息子はひとりっ子。だけど、はじめて兄弟体験をさせてもらえたことで、息子も私達も、見えたものがあった。
はじめて2人の子を連れて、不慣れに右往左往したあの日。2歳のあたたかな体温。しめった手のひら。怒り顔ですねる7歳。
なんてややこしいんだ!もう疲れたー!!と帰ってきたはずなのに、私も夫もあの賑やかな時間が既になつかしく、息子の怒り顔さえ愛おしい。
ふと気がつくと、あの日の写真を見てしまう。あんなに大変だったのに、思い出になってしまえば癒やされるのだ。
わちゃわちゃの子育てを終えた人が、あとになりその頃を懐かしむ気持ちって、こんなふうなのかもしれないなあなんて、ふと思うのだった。