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無職日記~心のペグを回す、そして1番目の席

あっという間に、無職期間である1月が半分過ぎてしまった。はやいのう。

前職を辞めてから約3週間が経ち、
ごはんつくる、家族と話す、図書館で勉強、名探偵津田を見る、ときどき友だちと会う、の日々。夜はたいていこたつで何かの動画を見ながら寝てしまっている。グゥグゥ。

これはあれだね、社会人としての何かが遠ざかってゆく感覚がある。
「はりつめる」とか「オフィシャルなスイッチを入れる」というタイミングがないので、脳がすんごい弛緩しているような…。
ちゃんとした化粧もほぼせず、なんならノーメイクで図書館に行ってるし…。

ギターとかマンドリンとか、弦楽器の弦を張り替えるときって、まずペグをまわして古い弦をゆるめていくんですが、
くるくるくると回してゆくと、古い弦がゆるんで、やがてびよーんと伸びきって、そして外れる。そんな感じ。わたしいま、そんな感じなのだ。

3週間で、はやくもこれ!
少しはペグを回さねば!

ということで、今日はコボリさん(前職で親しく関わっていた他支援機関の方)から誘われた、全員知らん人が来る地域についての対話の場、というのに参加してきます。
誰が来るのかも聞かされてないうえ、何を話すのかもよく知らない。なんの会なんだ。緊張するな。こんなにビヨンビヨンに伸びたわたしが参加してしまって大丈夫なのだろうか。

まあ、これくらいの緊張がある方がきっとよいのだろう。ペグをキュッとね。

あとさ、国試まであと半月なんだけど大丈夫なのかしら?自分。大丈夫なのか。大丈夫という気がまったくしない。ならば勉強しろ。しなさいよ。

・・・

昨日は年始初めて、つーさんの面会へ行ってきた。

来月から月~金の仕事が始まるので、しばらくはつーさんに会いに来られなくなる。拘置所は土日祝は休みなのだ。

有給が取れるようにならないと面会は難しいかもしれない。そのことはつーさんには既に伝えてある。それでもつーさんは面会で、「仕事決まって本当にすごいなぁ。しかもふたつも内定もらって、やっぱりののっつさんはすごいわ」と、心からの笑顔でわたしの再就職を喜んでくれた。

「ののっつさんはやっぱりたくさんの人から必要とされてるんや」とかあまりに繰り返すので、「そんなことないよ、たまたまだよ」と、もうやめてくれとばかりに何度も繰り返したのだが、つーさんはやめない。

おめでとう、の顔でも、よかったね、の顔でもなく、つーさんはひたすら誇らしそうな顔をしていた。まるで自分のことを自慢をするときのような表情で、にんまりが隠せないといったふうに。

わたしが内定をもらったこと、どこかしらの人たちに必要とされている(つーさん曰く)ということが、つーさんにとって自分のことのように誇らしいのだということがしみじみ伝わってきて、なんだかちょっと涙が出そうになる。
それってもう、家族の喜びかたじゃん。

面会時間は20分だったが、最近のいろいろを話していたらあっという間に終わってしまった。

つーさんの手のしもやけが痛々しい。内出血して紫色になって、グローブみたいに腫れている。拘置所の独房は暖房もヒーターもないので、毎年、手の指も足の指もしもやけになる。
「これでも良くなってきてんやで。毎晩ニベア塗ってるねんけどな」
痛々しいその手指を見て、なんとかこの冬が暖かくなってしもやけが回復しますようにと祈った。ニベア、本気出してスーパーサイヤニベアになっておくれ。

面会後に差し入れ窓口に並んでいたら、わたしの背後に輩(ヤカラ)っぽい(サングラス、白いなんかのブランドのジャージ、短めのツーブロ)若者たちが並んだ。

「オヤジから頼まれてるんスけど…」
「○○の姐さん、最近機嫌悪くて…」

などと会話しており、おお、ヤ界隈では最近の若者たちでも「姐さん」とか「オヤジ」って呼ぶんだなあ~なんて思った。差し入れさせに来させられてるのは大抵、下っぱの兄ちゃんたち。
拘置所という場所はそんな世界の人たちと、裁判のための面会に来た弁護士さんたちが同数くらい混在していてなかなかカオスである。
もう、すっかり慣れてしまったけれども。

ただ以前、一度だけ、車椅子に乗って全身白の紋付袴に身を包んだ「大オヤジ」、もしくは「会長」みたいなすごいオーラのヤの方を見たことがあり、おおぉ…!とその気迫に圧倒されたことがある。
その方の横をズラリと黒スーツの男たちが固めていて、あれはなかなか壮観だった。何者だったのだろう。組長か。

帰り、いつものお店で1番目の席でアイスコーヒーを飲んだ。
コートを着て歩くとすこし汗ばむ陽気で、よし今日はアイスコーヒーだ、と思った。
アイスコーヒーを飲むと、いつだって初夏の気持ちになる。

・・・

帰りに見た、夕暮れにそっとのぼる月。

まるで夕日のような月だった。

・・・

最近はひまなので、夜ごはんにすこし手をかけられている。

ある日の夕食。

練らないハンバーグ。
練らないことでガシッとした肉感のあるハンバーグに仕上がる。
ヘラで混ぜ、玉ねぎは水分が出ないように最後に入れるという徹底ぶり。
焼くと「肉!」という感じがしてとても良かった。おろしポン酢で。

副菜は、アスパラのグリル、たらこ粉吹き芋、悪魔しいたけ。

😈悪魔しいたけ😈

①しいたけの軸を刻む
②ニンニクを刻む
③しいたけに①と②をのせ、小さく切ったバターをのせ、醤油をくるりとかける
④トースターで5分くらい焼く

ひとくち食べた娘が「これは、悪魔的なおいしさだね…!」と言ったので、悪魔しいたけと命名。

また、ある日の夕食。

真鱈の中華風煮(青梗菜と)、包まない棒ニラ餃子、さつま汁。
来月から帰宅が遅くなるので、包まない餃子は重宝しそうだ。

お弁当用の作り置きは日曜日のルーティンであります。
蓮根サラダ、かぶの葉としめじのオイスター炒め、ナスの南蛮漬け。

お弁当はこんな感じ。
赤かぶの甘酢漬けは彩りにとても重宝している。

・・・

そうそう、1100円で映画を見られる日に、映画「366日」見てきました。ひとりで。
途中からあまりの切なさのわんこそば状態に涙が止まらず、泣いた泣いた。
観終わってからハタと我に返って「あれ?」「ん?」って少し首を傾げたところがなくもなかったが、とにかく、なんかもう悪い人が出てこないストーリーで泣きたいんだよ!!という人にはおすすめです。

あと、赤楚衛二さんっていくえみ綾の漫画から出てきたみたいなお顔をしていると思った。
序盤のちょっと面倒くさそうにしてるところなんて、完全にいくえみ綾の男の子じゃん!と世代的にはときめきました。

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