穀物の熟成
以前に地域のあるお爺さんと話す機会があり、
お米の裏話を聞きました。
売るのは新米
食べるのは古米、と言っていました。
要は、新米しか売れない、買ってくれない、
でも実際は古米がうまいので自分達家族は古米を食べている
と言っていました。
新米、新そば、普通は新しいものがいい、って思いますし、
私も長らくはそう信じていました。
ただ、実際のところ、そうとも限りません。
しっかりと冷蔵で保存された場合に限りますが、
一昨年のお米、とても美味しいです。
実は古米(一昨年のもの)が美味しい、味に深みがある、と言う人は
結構周りにもいます。
とあるお蕎麦屋さんでは、
新蕎麦と2年前の蕎麦を独自の方法で製粉していました。
売れ残りや余っていたと言うのではなく、
1−2年前の古い蕎麦を使い、あえて味に深みを出すそうです。
蕎麦がき(蕎麦粉だけを湯で練り上げて作る一品料理)で
比較したところ、確かに昨年度の蕎麦粉のものは、美味しかったです。
ジャスミン米やバスマティスライスなどのタイ、またインド・パキスタン等で食べられているインディカ種のお米は、通常、2、3年は熟成されます。
新米だと、青臭くて全く美味しくない、とタイの人から聞きました。
現地のインディカ米では、新米で売られることは
ほぼないそうです。
例外として、一時日本がタイから輸入したお米(90年代の米輸入時です)は、日本側が新米を求めてきたので、タイでは新米を主に輸出されたと言っていました。
日本でタイ米が不評だった理由が、容易に想像できます。
現地の人が食べない未熟成のお米である上、食べ方も異なるので無理はありません。
では、大豆に関してはどうでしょうか。
私は、毎年、味噌作りをしていますが、
実は2年前の大豆を使うことが多いです。
なぜなら、実際に少し古い大豆を炊いてみると、
結構美味しかったからです。
今では、味噌用の大豆は、冷蔵保存した古大豆を使用しています。
油分が酸化して、美味しくない、新鮮さがない、と言う意見もあります。
人それぞれ、考えも違うと思います。
( 熟成の条件ですが、しっかりと温度管理等した上での話です。
放置すれば、虫が来たり、また劣化します。常温放置ではありません。)
ただ、実際に試してみれば、きっと熟成された古い穀物が美味しい、と言う人は結構いるのではないか、と私は本気で思っています。
私個人的には、一年前の大豆の方が、ずっと美味しく感じました。
今年、知人に私の使っている大豆を少し分けて欲しいと言われました。
当事情を説明し、
2年前の大豆を譲りましたが、結構好評でした。
そうめんの熟成もありますので、
単に新米、新蕎麦、と新しいものがいいと決めつけない方が良いかもしれません。
おそらく、農家さんにとっては、古いお米は、新米のシーズン前に売り切りたいと思っている人も多いはずです。
そのため、新米シーズンの前には、在庫処分として安くしてでも
販売される方は多いようです。
正直、正解不正解はないと思いますが、
自分で味わってみるしかありません。
私の近辺で住んでいる方々複数の意見では、
古米派が7割超えています。
新米がいい、新そばがいい、
ついそう思いがちですが、一般的な常識を疑ってみるのも
大事だと思います。
常識を疑ってみる、
これは色々な分野でも言えることではないでしょうか。