【読書】幸せとは?ストレスは身体を守るため?「ストレス脳」
話題作「スマホ脳」の著者による「ストレス脳」(アンデシュ・ハンセン著)
ストレス脳という題名のこの本。
ストレスと脳?
読み終わるころには、
・幸福とは?
・ストレスを感じるのはかつて生き延びるために進化の過程で身につけていきたこと?
そんなことに気づき、ちょっと視界が広がった気がしました。
精神科医である著者による見解が様々なデータをもとに述べられていてとても興味深かったので、気になった点をメモしておきます。
「病気や飢餓などのリスクを克服し、人類はかつてないほど快適に生きられるようになった。だが、うつや不安障害は増加の一途…」
不安とうつはたいていの場合、防御メカニズムである
不安になるのは進化の過程で生き延びるために身についてきたもの
私たちの身体は、危険に対して反応し生き延び、子孫を残すために進化した
(かつて危険に対して著しく反応する人は生き延びられる確率が上がった)
引きこもる行動も私たちの免疫機能
感染のリスクがあれば脳が感情を作って私たちを引き込ませる。脳は今でもまだサバンナにいると思い込んでいるから、ストレスを感じると感染リスクが高まったと解釈するので。
幸せが永遠ではない、幸福感が消える理由は、そうでなければ、感情は私たちを動機づけるという本来の役割を果たせないから。
感情は私たちに行動させるために存在し、変化していくもの。
不安を騙すテクニック
1.呼吸
ゆっきりと息を吐くと身体から脳に「危険はない」というシグナルが送られる
2.幸せを言葉にしよう
感じていることをことばにして語ること
運動する方が集中力が高まり発想力も上がる
単語を覚えるテストでは、歩いて覚えた学生の方が、座って覚えた学生より20%も多く単語を覚えていた。
うつ全体の20%が孤独によるもの。12%がもっと運動すれば防げたというデータも。
でも、運動が身体に良いのに積極的に運動しようと思えず、休みたくなるのは、カロリーを無駄遣いしないように進化してきたから。
飢餓のリスクを避けるためにカロリー豊富な食べ物を探すように進化したのと同様に、貴重なカロリーを無駄に使ってしまわずに休んでおきたいと思うように進化した。
運動することと仲間と一緒に過ごすことがうつから守ってくれるとのこと。
スマホが問題なのではなく、他のことをする時間がなくなったことが問題
精神の不調を防ぐ要因である睡眠、運動、人と会うということをデジタル化の進むライフスタイルに侵食されている。
脳は精神的に元気でいるようには進化せず、常に最悪の事態に備え(不安)、場合によっては自分を守るために引き込ませる(うつ)ようにした。
あくまで身体の防御システム。自分の身を守るためにしていること。
心に異変を感じたらカウンセリングなどを受けることを精神科の著者は勧めている。
幸せは長期的に人生に意義を感じられるかどうか
幸せを気にしないこと。
あらゆる体験を自分の期待と照らし合わせるように進化したからこそ幸せを追い求めるのはやめた方がいい。幸せの感情は消えていくもの。
読んでみて
幸せであること、幸せな気分でいることに焦点がおかれているこのご時世。もう少し長い目で考えてもよい気がしました。
長い人類の進化の過程からみると、私たちがスマホをもち、動かなくても食べ物を得られるようになってきたこの時代はまだほんの一点にしか過ぎないのです。
そのため、自分を外的から守り生き延びるために進化してきた身体は、元気でいるためではなく、まだサバンナの中で獲物を捕り、敵から身を守るようなしっかりとした防御システムを働かせているのです。
そんなことがわかると、あぁ、不安になる気持ちや鬱々とした気持ちの時も当然なのかもしれないと思えるようになりました。
他人との比較ではなく、自分自身が自分の人生に意義を感じられるかどうか長期的な目線で捉えることで本当の幸せに近づけるのかもしれません。むしろ「幸せにならなきゃー」という頭より、日々楽しく生活していることを積み重ねていけるといいのかなと思いました。
私にとって発見や学びの多い本でした。
ちなみに「スマホ脳」もおもしろかったです。