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愛のこと

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自分と誰かを大切に想うこと
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#恋愛

優しさに救われている話

優しさに救われている話

買い物に向かう途中で雨が降ってきた。こまめに通うには少し遠い距離にあるスーパーでは、買い物袋に入るギリギリの量の食料をいつもまとめて買って帰る。勢いの弱いシャワーのような雨のなかを、傘もささずに濡れながら、重い荷物に振り回されないよう必死になって歩いていると、なんだか急に、自分が惨めに思えて悲しくなってきた。

もし今の私の姿を見つけたら、あの人はどうするだろうか。きっと、どこからともなく傘を買っ

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恋なんて、

恋なんて、

きっと永くは続かないと
心のどこかで思ってる

美味しい料理だって
冷めればすぐに悪くなる

咲いた花もいつかは枯れる

だけど

美味しい料理を作るためには
根気と時間が要るように

種を植えて水を与えて
花を育てるように

気長にゆっくり時間をかけて
時には何かをぐっと堪えて
それでも
人を愛したいと
あなたもそう思うでしょう?

終わらないものはないのなら
終わらせない努力をやめないで
そう

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乞文

乞文

雨の日は会えない 晴れた日は君を想う

今夜はこんな邦題の映画を観ようと、久しぶりにキャンドルに灯をつけました。映画がはじまって、5分で妻がなくなりました。それ以上の感想はここで書くのはやめにしておきます。もしもあなたがこの映画を観たら、続きはその時にでも話しましょう。                            

映画を観ながら、いろいろなことをぼんやりと考えました。言葉にできるほど

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miso soup

miso soup

溢れんばかりの愛情に満ちていて、とびきりの優しさに包まれていた日々が、人並みに落ち着いてゆく。お洒落なフレンチや、老舗の料亭のような特別を、毎日提供できるほど僕らは特別じゃないから。少し味の薄いみそ汁は、日替わりな君の今日の味。コップに残った水垢も、年輪のように重なってゆく僕らの日々の記録。

言い返されるのを分かっていながら、たまには文句も言ってみる。なかなか言えない小さな不満だって、聞いておい

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ミルフィーユのような幸福

ミルフィーユのような幸福

数日ぶりのあなたとの時間は、30分だけ。学校から帰ってきて、バイトへ向かうあなたを玄関で見送る。部屋に戻って、ベランダから顔を出して、見えなくなるまで手を振り続ける。繰り返しの日々の一部でしかないけれど、久しぶりに出来たいつも通りのいってらっしゃいが、何よりも嬉しくって、私を少しだけ寂しくさせた。

いとしのゆたんぽ

いとしのゆたんぽ

明日も朝が早いのに、時計はもう夜の3時。お風呂上がりで作業をしていたから、足はもうすっかり冷えてしまっていた。

自分で決めたことなのに、もう挫けそうになっている自分が憎い。こんな嫌悪に陥るくらいなら、はじめから決まりなんて作らない方がいいかもしれない。

おもい足をベッドまで引きずってゆく。するすると布団に足を滑り込ませること、あなたの温もりが肌に伝わってきて、気持ちまで緩めてゆく。

夜なべし

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もやもや

もやもや

 今日も、彼は夕食を食べるとすぐに眠ってしまった。余ったお米を取り分けて、洗い物を済ませた。彼はそれらを「少し寝てからやる」と言い残して横になったけれど、すやすやと気持ちよさそうに寝息をたてており、一向に起きる気配はない。これは朝までぐっすりコースだな、と諦めて読みかけの本を開いてみるけれど、なかなか頭に入ってこない。一人の夜を素敵に過ごしてやろうと意気込んで、試行錯誤してみるがなんだか心が満たさ

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toi et moi

toi et moi

愛の深さを表現するには
私の言葉はまだ浅はかだ

それを教えてくれるのは
あふれんばかりの君の愛

誰もが幸福な日は1日もないし
それぞれに不幸な時がある

どうせなら
君とおんなじ不幸を味わいたい
不味い釜の飯さえも
一緒に笑って分け合いたい