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読書感想文・図書館

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読んだ本のまとめです
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2023年3月の記事一覧

賢女ひきいる魔法の旅は

この話では結界で覆われてしまったある島を 結界を破るために訪れる という冒険の話だ。 四つの島の男と、四体の守護獣がいること  という条件が付くのである。 賢女ベックは、エイリーンの叔母であるが ある島で呪いをかけられ 12歳のエイリーンが賢女として みんなを率いていくことになってしまう。 守護獣も、男たちも、どちらかと言うと そんなにパッとしていないところが良いかも。 ダイアナ・ウィン・ジョーンズの、遺作だったそうだ。 書き終えずに亡くなり、 妹が続きを書いたのだとか

魔法使いハウルと火の悪魔

アニメ「ハウルの動く城」の原作である。 「昔話ではそうだった」というソフィーの思い込みは、 昔話の中では、冒険に出た時などに 「三番目の子はうまくいくけれど、一番目(長子)は失敗する」 というものである。 荒れ地の魔女に魔法をかけられるのは映画と同じだが 小説では、かけられた魔法をむしろソフィーが補強している。 ハウルはとても臆病で、探してくれと頼まれても たいがいのらくらと「うなぎのように」断るのである。 でも女の子にふらふらしていると見せかけて 諜報活動もしている。

いつか来る死

糸井さんと対談しているのは 小堀鴎一郎というお医者さんだ。 元は外科医で、今はお年寄りの訪問診療をしている。 森鴎外の孫だそうだ。 今までに500人近くを看取ったそうだ。   (書かれていた時期では460人とか) 在宅と入院でのメリットデメリットを とてもフラットに話していた。 患者さんに入り過ぎてしまうという事もなく いろいろな人がいるから、と。 家で最期を  と みんな思っていても本人だけが思っていなくて ご飯の支度ができるようになったら退院する  と言った人がいる

子どもは古くならない

エッセイのような詩のような。 気を抜ける本だった。 ときどき大事な話が混ざっている。 最近、ちょっと気にしていた「嘘」についても書いてあった。 わりと納得した。 糸井さんにはお孫さんができたそうだ。 赤ん坊が育つ ということをとても楽しんで見ているそうだ。 そのくらいの距離感が良いんだろうな。 私は石井桃子さんに弱い。 まぁ 茨木のり子さんとかにも弱いけど。 自分の芯が強くないせいか、 しっかり生きた人には、 無条件で ごめんなさいと言いたくなってしまう。 (01

国語の教科書で何を読んだ?

自分が、中学生の時に教科書で読んだ作品を しばらく前から思い出そうとしている。 あったとはっきり言えるのは、 魯迅の「故郷」 草野心平の「ばっぷくどん」 「清兵衛と瓢箪」か「小僧の神様」のどちらか。 「杜子春」か「トロッコ」のどちらか 三年間習った先生が、 「女の人ってボタンとかたくさんついているようなのが好きでしょ」  (手がかかってもデザイン性のあるものが好きという意味で) と言っていたのは、たぶん女性の随筆か。 たぶん、各学年に、翻訳文学は入っていたと思うし 論

アイアンハンド シルバータン

この本の中で、生きている人間は、ジョージとイーディだけだ。 「タイント」は心を持たない石像 「スピット」は人が心を込めて作ったブロンズ像 長い長い月日の中で、タイントとスピットが話し合う事もあり、 スピットを理解するドラゴンがいる。 悪しきタイントに染まってしまうスピットがいる。 善悪に微妙に傾くスフィンクスの双子がいて、 やっぱり質問にはなぞなぞで答える。 王も女王も、先史時代の女王も妖精も、神も入り混じっての「闇」との戦い。 鳴らないはずの13回目の鐘が鳴り、ロンドンの

我という365面体

俵 万智さんの 「我という365面体  ぶんぶん分裂して飛んでゆけ」 が好きだ。 いろいろな解釈はあるだろうけれど 私の解釈は 「私」という人間は一年365日 日々違う一面を体現している。  (結果的に ということもあろうが) 後悔する黒い日も、誇らしく思える白い日も 飛んで行ってしまえ  (みんな過去だし) (いろいろ恥ずかしいし) (日々新しく出発しているし) そんな感じ。 365面体って、結構 球体に近くないのか としょうもないことを考えることもある。 「