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【読書感想文】父が娘に語る、経済の話。を読んで

ギリシャの経済危機時に財務大臣を務めたヤニス・バルファキス著

「父が娘に語る美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。」
を読んで。

前置きになりますが、私自身は経済知識ほぼ皆無。知っておいた方がいいよね、大人として…単純にこの世界がどうなっているのか知りたいし…そもそも物事の成り立ちとか、物語的に気になるし…という、ただの好奇心から手を伸ばした本になります。

なので専門的目線での感想などはありません。あくまで自分宛のメモ的なものになりますので、ご了承くださいませ。

◇◆◇◆◇◆

まず、経済の基本要素「余剰」はこうして生まれました。

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遥か昔の狩猟時代、人々は動物を狩ったり木の実をとったりしながらその日に必要な分だけを手に入れて生活していました。

ですが天候や気候に恵まれず十分に食物を確保できない時もある…その結果農耕を発明し人々は一年を通して計画的に食物を手に入れられるようになりました。

その結果、「余剰」が生まれたのです。

余剰は将来への備え。嵐や日照り続きで作物が十分に育たなかった時に備えて小麦を溜めておいたり作物をとっておいたりしたのです。狩りや漁では余剰は生まれません。肉や魚はすぐに腐ってしまうからです。

そしてこの農作物の余剰が…文字、債務、通貨、国家、軍隊、宗教など人類を変えるあらゆる制度を誕生させたのです。

◆まず最初に文字が生まれました

農民がそれぞれの作物を共有倉庫に預け、番人に見張ってもらうシステムをつくりました。管理するためには預かり証のような物が必要になるので、そこではじめて、文字が生まれました。

自然の恵み豊かなオーストラリアのアボリジニやアフリカの先住民の間で文字が発達しなかったのは、そのためなのです。

◆次に、債務や通貨が生まれました

最初は労働者への対価として作物の量を書いた貝殻を渡していました。貝殻に刻まれた作物はまだ収穫されていないわけですから、これは畑の主人が労働者に返すべき借金とも言えます。

こうしてそこに暮らす誰もが認めることで、文字の刻まれた貝殻は価値あるものとなりました。借用証書も硬貨も、欠かせないのは信用です。そしてその信用を確かなものとするためには、大きな力が不可欠でした。例え支配者や主人が死んだとしても、手元にある貝殻の効力を発揮できるような権威の裏付けが必要だったのです。

◆そこで生まれたのが、官僚・軍隊・宗教です

債務が生まれたことで通貨が流通するようになったけど、安心するためにはもう一押し必要。そこで国家という大きな力が通貨の価値を保証するようになりました。国家を存続させるためには官僚や警官、軍隊が必要。たくさんの作物がなければ大勢の官僚や警官を養っていくことはできない。軍隊も維持できない。軍隊がなければ国力を維持できない。国力がなければ、外敵が余剰作物を狙って攻め込んでくるかもしれない。

だから官僚や軍隊が維持できたのは余剰のおかげであり、余剰があるから官僚や軍隊が必要になったとも言えるのです。

宗教もまた、余剰によって生まれたものです。農耕社会が土台になった国家では、政治家や軍隊など社会的地位の高い人たちに分け前が偏っていました。しかしいくら支配者に力があっても、貧しい農民たちが力を合わせて向かってきたら国家は転覆しかねません。では、どうやって権力を維持したのか…それは、「支配者だけが国を支配できる権利を持っている」と固く信じさせればいい。庶民の暮らしは天からの授かり物だと信じさせればいい。それに逆らうと世界はとんでもない混乱に陥ると思わせればいい。そうやって支配者を正当化させる思想を植え付けることで、支配者の権威を安定したものにしてきました。そこから何千年と国家と宗教は一体となってきたのです。

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「余り」から全てが始まったと読んで「そうなの?!」と驚いたけど、読めば読むほどその通りで…そうじゃないと売るなんて発想にならないよな〜と妙に感心してしまった自分がいました。

こんな感じにだいぶ金融リテラシーの低い私が読み進めた経済の話。少しずつまとめていきますので、興味がありましたら寄って見ていってください。

もしも読んでくださった方がいましたら、ありがとうございました。
また次回、お会いしましょう。

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