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「価値観の多様化」に困惑しないための、相手を理解するコミュニケーション技術 Part1

1.はじめに


 僕は、組織・人財開発系のコンサルタントをしている傍ら、現在BPIA(ビジネス プロフェッショナル インキュベーション協議会/https://b-p-i-a.com/)の理事をしています。このBPIAで会員向けに、2013年以来「Think!」という組織論やデザイン思考、最新哲学などを多様なテーマの研究会を開催しております。
 2023年度のテーマは『今ビジネスパーソンとして持ちたい、分断を産みかねない「価値観の多様化」を克服するための知見』です。
 https://b-p-i-a.com/?page_id=8119
 このnoteへの投稿は、今回の研究会のサマリーです。

 価値観が多様化し、それが加速していることは現実です。ビジネスの世界でも、顧客のニーズの多様化への対応に日々苦労しています。
 この四半世紀、哲学の領域でも「相対主義哲学」が跋扈しています。多様性(ダイバーシティ)への注目はその表れの一つです。
 しかし、この多様性を重視する一方、国家間、組織内の世代間、男女間などの「異なる価値観」での間での分断は激しくなっています。
 また、最新の哲学領域でのイシューは、この複雑化する「多様性」を乗り越えるために何をどうすべきか?であり、ドイツの「新・実存主義」哲学者・マルクス・ガブリエルらの言説が注目されています。
 ところで、今流行りのchatGPTで「価値観の多様化を克服する方法は?」と質問すると、その返答の第一は「コミュニケーションの促進:違いを理解するために対話を促し、誤解を避けること」でした。
 僕も納得する回答です。
 今回のThink!では、「価値観の多様化を克服する方法」の一つとしての、「相手を理解するためのコミュニケーション技術」に焦点を当てたいと考え ます。

2.価値観の多様化に困惑しないために、相手を理解するコミュニケーション技術

 こんな声を僕の(40歳以上の)友達からよく聞きます。
 「Z世代、α世代が何を考えているか、分からない!」

 世代が違ったり、関心領域が異なったりすると、僕たちは「価値観、考えが違う!」と安易に言うことがあります。
 違和感があるものを"拙速に"受け入れない、こんな傾向はありませんか?
    ところで、下記スライドの❶と❷にはどのような言葉が入るでしょうか?

 どのような言葉が入りましたか?

 「価値観の多様化を克服する」ためには、拙速に拒否反応を示すのではなく、まず、「好奇心」「理解」姿勢を持つことが大切です。

 下記スライドを観てください。

 あなたなら、この彼女の発話に対して、何と言いますか?
    chatGPTでこれを試してみました👇。

 chatGPTは「BLが好きなんです!」に対して、まず「それは素晴らしいですね!」と返答します。
 相手の発話に対して、称賛したり、認めたりすること「共感技術」の一つです。
 ※「共感技術」についての詳細は後ほど共有しますね。
 chatGPTは質問に対する回答の際に、頻繁にこの「共感技術」が使われています。凄いなと思います。

 では、次のスライドを観て、あなたは何と言いますか?

 回答例は後ほど示しますね。

 相手の「理解」のための技術としては2つあります👇。 

 一つは「共感技術」で、人間性が重要となります。
 もう一つは「質問技術」で、論理性が重要です。

3.理解してから理解される

 相手の「理解」のための技術を解説する前に、1500万部越えの世界的ベストセラーである『7つの習慣』の著者スティーブン・R・コヴィー博士の言説を共有しましょう。

 これは『7つの習慣』の中で示される「第5の習慣」です。
 あなたが相手の状況、考えを理解した上で、アドバイスをしないと、相手にあなたのアドバイスは理解されない。つまり、本当の状況を理解していなければ、あなたのアドバイスは受け入れられない。
 これを構造化すると以下のようになります👇。

 相手と対話し、相手に意見なりアドバイスをする際には、まず理解に徹することが大切です。
 そのためには、「質問」による相手の考えや状況などの理解を如何に行うかが問われます。
 「質問」するための基本技術を知っておくと、プライベートでもビジネスでも役に立ちます。

4.「質問技術」、その全体像

 「質問技術」の全体像について説明しますね。
 繰り返しますが、「質問技術」は相手を理解するための技術なのです。

 👆「質問技術」は大きく分けて、「ⅰ質問の基本技術」「ⅱ質問の応用技術」に分かれます。これを理解すれば、相手に対して質問する際に迷うことは少なくなりますよ!
 では、「ⅰ質問の基本技術」の『❶具体性の追求質問』から共有しましょう。

5.「ⅰ質問の基本技術」/『❶具体性の追求質問』

 『具体性の追求質問』は文字通り、相手の発話について、その背景や意図などを具体的に質問する技術です。
 意外に簡単なのです!

具体性の追求質問』には以下のように👇2つのし方があります。

 一つは「❶-1:非特定」。もう一つは「❶-2:特定」です。
 まず、「❶-2:特定」から共有しましょう。

《「❶-2:特定」》

 「特定」は、5W3Hの観点で特定して質問、ヒアリングすることです。 そう、僕たちが意識すべきことは、5W3Hだけなんです。

 上記のように👆ある女性が「先日の連休に横浜に遊びに行ったのですよ」という発話があったとします。
 これに対して、あなたが『具体性の追求質問』の「特定」を使うとするとどのような質問をしますか?
   簡単ですよね! 5W3Hを使えばいいのです。
 質問例としては、
「横浜のどこにいったのですか?」
「誰と行ったのですか?」
「どれくらいの期間、横浜に行ったのですか」など.…

 5W3Hの"Why"「なぜ、横浜に行ったのですか?」という質問も当然考えられますが、実は、Whyの原因、つまり、「それはなぜでしょうか」の質問は、相手が答えられなかったり、相手を問い詰めている形になる可能性がああります。
 よって、自分としてここは本当に「なぜ」を伺わねばならないという以外は多用しないことが肝要です。気をつけましょうね!

《「❶-1:非特定」》
 次に「非特定」👇を観てみましょう!
 これはもの凄く便利なんです。

 相手の発話に対して、
「具体的にはどういうことですか?」
「具体的にはどのような問題が起こっているのですか?」
「と、言うと?」
「・・・・とおっしゃいますと?」と言うだけなんです。
 これを言われると相手は具体的に回答せざるを得ないのです。

 連発して「と、言うと」「と、おっしゃいますと」を使うと相手が不快に思うことがありますので、「具体的にはどういうことですか?」などを使ったり、「特定」5W3Hを使うなどして上手く対応してくださいね。

 さて、下記スライドの回答を考えてみてくださいね。

 ところで、皆さんは「シーマン(SEMAN)」というゲームをご存じですか?
    これは、私と同じリクルート社出身の、ビバリウム社のクリエーターです。「シーマン(SEMAN)」は、1999年にゲーム機「ドリームキャスト」のソフトとして、彼が開発した育成シミュレーションゲームシリーズ、および同ゲームの架空の生物の呼称です。
 魚の身体に人の顔が付いている生物です。
 例えば、テレビに「彼女にふられてしまったんだよ、シーマン」と言うと、この「シーマン」は、
「と、言うと?」
「で?」
と言ってくるのです。
 我々の音声データを引き取って「具体性の追求」の「非特定」で質問しているのです。
  20年以上前のゲームなのですが、凄いですよね。

《chatGPT-4による「ここまでのまとめ」 》
 
価値観が多様化し、分断が激しくなっている世の中で、どうやって価値観の違いを克服できるかが問題です。chatGPTでも、その克服に向けて、コミュニケーションの促進を提案してきます。
 相手を理解するためのコミュニケーション技術には、「共感技術」と「質問技術」があります。スティーブン・R・コヴィー博士の『7つの習慣』でも、コミュニケーションの基本原則は、まず相手を理解することが大切だと説いています。
 相手を理解するための方法である「質問技術」は、
「ⅰ質問の基本技術」
「ⅱ質問の応用技術
」です。
 「ⅰ質問の基本技術」の中には、『具体性の追求質問』があります。
 これは、相手の発話の背景や意図を具体的に質問する技術で、
「❶-1:非特定」と「❶-2:特定」の2つの方法があります。
 「❶-1:非特定」は、「具体的にはどういうことですか?」「と、言うと」「と、おっしゃいますと」などと質問する方法です。
 「❶-2:特定」は、5W3Hで質問する方法で、注意点として、5W3Hの中のWhy、つまり、「なぜ」という質問は相手に問い詰める形になることがあるので、適切に使い分けることが大切です。


次回は👇下記内容をアップします。
4月末になる予定です。


閲覧ありがとうございました。
(つづく)



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