夏の図書館
暇なので、自転車で出かけることにした
行き先はまったく決めていないけど、近くの土手にとりあえず行くことにした
最初はスイスイ車輪を漕いでいたが、段々と気が付く 暑いっ! とにかく暑いっ!
テレビでは連日猛暑のニュースを見るが、自分の地元もこれほど暑いとは...
汗をかきながら、周囲の景色を見てみると、いつも行列ができているラーメン屋に、今日も列ができている
(みんなラーメン好きなんだな) と思いながら、次第に土手が近づいてくる
土手は、自転車でも歩きでも、数十分もすれば着ける場所にあるが、距離を長いと感じる時もあれば、短く感じる時もある
その日の感情で、その差は生まれるのか と思いながら、ヘトヘトで到着し、そのまま土手を走り続ける
日曜日の午後2時ごろ、特に暑い時間帯なので、人気はなく、涼しいような暑いような風を浴びながら進む
ジョギングしているおじさんとすれ違うが、元気ハツラツなおじさんと、さらにヘトヘトな自分を比べて、悲しくなった
子どもの頃、土手を1kmくらいみんなでマラソンする、鬼のような学校行事があったのを思い出した
順位は...察してくださいm(_ _)m
土手から町の通りへと抜ける道を曲がり、通り沿いをまた行き先も考えず走っていた
ふと、(折角だから図書館に行こうか) と思ったので、ルートを切り換えて、近くの小さな図書館に向かった
到着し、中に入ると、
中は涼しく、静けさの中、階段を上り、2階の椅子に座ってしばらく休む
図書館は、1階が児童書、2階が小説などの大人が読む本を置いている構造になっている
もう一つ、子どもの頃のエピソードで、学校の近くにある施設を探検しよう という行事があり、それで図書館を見学しに行ったことがあるが、
ちいさな"の"にとって、図書館の2階は、特別な空間が広がっているように感じていて、いつかは、あの階段の先に行くことがあるのだろうか? と少しワクワクしていた記憶もある
しばらく休んだ後、2階に並ぶ本のコーナーを見て回った
特に文学、芸術のコーナーが気になり、そこの本棚をじっと見てみた
すると、銀色夏生さんという、名前を聞いたことのある方の詩集があったので、手に取り、読んでみることにした
置かれていたのは、銀色夏生さんの「葉っぱ」という詩集で、一枚一枚葉が並んでいる表紙のデザインも可愛かった
読み進めてみると、"人"と"人"との繋がりを表現した作品を多く書いている印象を受けた
失恋、遠く離れて思いを馳せる人や、もう会えない人
身近な誰かや、空の向こうの果てしない誰かのことを言葉にしていて、
読んでいる自分の中に存在する懐かしさを思い出させてくれるような、素敵な詩が広がっていた
詩といっしょに木の葉の写真が掲載されているので、木の空気を感じたり、その空気と心象風景が混ざり合い、より感情に色をつけてくれるような、そうしたイメージも感じた
読み終わった後、再びコーナーを見て回ると、CD・DVDの置かれている小さなコーナーを見つけた
町の歴史や、地元の小学校の創立記念に作られたビデオなども置いてあった
自分は、図書館のメディアコーナーも興味深く感じる
ここでしか見られないビデオがあったりするからだ
国立国会図書館には、今は絶版になっている作品が保管されているというので、とてつもないロマンが膨らむ
とにかくロマンが膨らむので、想像してみるのもすごく楽しい
午後3時ごろ、帰るために図書館を出た
出入口の近くに自販機が置いてあるのだが、この自販機にも思い出があったりする
昔、家族と図書館に行く度に、この自販機で缶のサイダーを買って飲んでいた
そのサイダーは、中身がゼリー状になっていて、振ることでシュワシュワと液状になる変わり種なので、子どもの自分は楽しかった
今も変わらず自販機に売っているので
見る度に、当時の気持ちを思い出したりする
2024 8.18
今回は、実話を基にした小説風エッセイみたいになりました
閲覧ありがとうございました