見出し画像

【詞】静謐少女


あの子の仕草は静謐だった

さらけ出したら どんな言葉が宿っているのか知りたかった


髪留めのゴムを肌身離さず持っていた

部屋はぬいぐるみに埋もれていた



スパンコールな夜光虫を描き続けている

(陰影も深く彫っている)

真昼にしか見えない海のあらゆるも書き連ねている


磯の薫りがする悲哀を隠している

それでも あの子は穏やかだった



あの子の理由は静謐だった

本を開いたら 本の世界が飛びこんでくる

それが楽しみだった


髪留めのゴムを伸ばすと息遣いと重なる

不安をいつもぬいぐるみに話していた



スパンコールな街並みを食べ続けている

(陰影もちゃんと噛み締める)

夜の冷たい匂いに足を早めている


粉々にしてしまった月を隠している

それでも あの子はずっと先を見据えていたんだ





思春期は、言えること と 言えないことで、物事を分けていたように思います

特に具体的な秘密は書いていませんが、
"磯の薫りの悲哀" や "粉々の月" など、
比喩を膨らませてみました



最近投稿した詞はこちらから!

いいなと思ったら応援しよう!