小野 誠 / 環境コンサルタント

大手通信販売会社を経て、ベンチャー企業の立ち上げなども手がける。息子が生まれたことにより次世代に残す地球環境への意識が高まり、微生物の勉強を始める。現在は、水質浄化、土壌改善などの経験をもとに環境コンサルタントとして活動中。書籍「みんなでできる地球のおそうじ」を出版。

小野 誠 / 環境コンサルタント

大手通信販売会社を経て、ベンチャー企業の立ち上げなども手がける。息子が生まれたことにより次世代に残す地球環境への意識が高まり、微生物の勉強を始める。現在は、水質浄化、土壌改善などの経験をもとに環境コンサルタントとして活動中。書籍「みんなでできる地球のおそうじ」を出版。

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最近の記事

ダムの真実 〜パタゴニア〜

日本においては、ダムを作ることは防災や水力発電の面からも、「常識」「当たりまえ」だと考えられている。 ダムは必要か否かという声を聞くこともほとんどない。 では、世界に目を向けた時に、その常識はどうなのだろうか。 「エジプトはナイルの賜物(たまもの)」という有名な言葉は、ギリシャの歴史家ヘロドトスが残したものだ。 これは、ナイル川が定期的に氾濫することにより、肥沃な土が大地に供給され、文明を育んだことを表している。 しかし、その言葉は現在では失われてしまっている。 その原因の一

    • 海と珊瑚をおもう日焼け止め RIN RIN CREAM

      世界的に深刻さを増している珊瑚の白化現象。 珊瑚の白化現象では、気候変動による水温上昇、科学的な生活排水、自然に分解されなくなった汚泥が堆積する問題、様々な原因が議論されている。 その要因の一つとされているのが、実は「日焼け止め」の成分だ。 具体的には、紫外線吸収剤である「オキシベンゾン」と「オクチノキサート」という物質が問題視されており、ハワイでは上記成分が含まれた商品の流通が禁止になっていたりもする。 肌に塗った状態で海に入ると、海にその物質が徐々に溶けていき、珊瑚の白

      • 生分解性のオーガニック超吸水性ポリマー「EFポリマー」

        超吸水性ポリマー(SAP)というと、どういう物であるかイメージしにくいかもしれない。 簡単に言うと、自重の数百倍の水を吸収することができる素材だ。 紙おむつ・ペットシート、保冷剤や農業分野などに幅広く使われている。 これらは、アクリル酸を主原料としたポリアクリル酸系のSAPが主流であり、石油由来かつ非生分解性であることから環境負荷が大きいという課題があった。 環境負荷の少ない天然由来かつ生分解性を有するSAPとして、澱粉やセルロースなどの多糖類を主原料としたSAPの研究開発が

        • 資源を循環させるジーンズ「Land Down Under」

          トレンドを追いかけるファッション業界は、資源の節約や地球環境の保護の観点と両立が難しい業界の一つだ。例えば、昔の日本人は1着の着物を大切に使い続けていた。 しかし、現代では、毎年流行の色やデザインが生み出され、古い服は流行遅れとなり、翌年にはもう着ることが難しい場合もある。そうするとその服に活用される機会が訪れることはない。そんな大量生産・大量消費型のビジネスモデルは様々な歪みや無駄、ゴミを大量に産み出し続けている。 そんなファッション業界に一石を投じる試みを行っている会社

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        • みんなでできる地球のおそうじ 〜わたしから始める環境革命〜
          9本

        記事

          タンカーの事故処理研究から生まれた易生分解性の洗剤

          TVCMで目にしない日はないくらい盛んに宣伝されているものの一つが洗剤や柔軟剤だ。 洗剤は如何に殺菌力や洗浄力が高いかを喧伝し、柔軟剤は香りがとても長く続くことを主張している。 スポットライトが当てられているのは洗浄力や香りの持続力だけで、CMではその影の部分が伝えられる事はない。 では光が当たらない部分に目を向けてみよう。 例えば、強い殺菌力があるものが下水道や浄化槽に流れ込むとどうなるだろう。 下水処理は、活性汚泥法という微生物の力による分解方法が用いられているが、

          タンカーの事故処理研究から生まれた易生分解性の洗剤

          雑誌からできた無漂白トイレットペーパー

          最近では再生紙からできたトイレットペーパーを選ぶ人も増えていることだろう。 しかし、意外とその再生紙の元が何だったかということまで思いを馳せる人は少ない。 実は、再生紙トイレットペーパーは、企業や学校などで発生するコピー用紙などの書類や、回収された牛乳などの紙パックを原料にして作られている。そして、そのほとんどは通常真っ白に漂白されている。その時に使われる漂白剤がポイントで、塩素系の漂白剤からダイオキシンの発生が問題となったこともあった。また、漂白剤以外にも化学薬品が使われ

          雑誌からできた無漂白トイレットペーパー

          木材を顔料として用いたクレヨン「Forest Crayons」

          現在、国際的に木材の価格が高騰している。日本は森林が多く、木材としては国産が多いと思われがちだが、実はこれまで消費の過半数を輸入に頼ってきた。 日本の森林の多くは戦後に針葉樹が植樹され、木材としての使用には適齢期を迎えてきている。だが、実はご先祖様が残してくれた折角のその財産も、なかなか価値を見出しにくい現状がある。地方は少子高齢化が進み、重労働である林業の担い手が不足してしまっている。 また、上記に加えて、安価な海外の木材に頼ってきたために、折角植樹した山のメンテナンスが

          木材を顔料として用いたクレヨン「Forest Crayons」

          竹を財産に変える竹紙製品 〜協業組合ユニカラー〜

          ●過去は資源だった竹 竹は生活に役立つ資材・資源として、古くから日本人の生活を支えてくれたものの一つだ。縄文時代の遺跡からも竹を素材としていた加工品が出土したという記録もある。竹は生命力に溢れ、1日に120cm程度伸びたという記録もあるほど。加工がしやすい竹は、日用品だけでなく、建築資材としてもたくさん使用されてきた。 しかし、高度経済成長期になると、プラスチックやコンクリートなどが登場し、竹の出番はなくなってしまった。使われなくなった竹は放置されるようになり、管理不足の竹林

          竹を財産に変える竹紙製品 〜協業組合ユニカラー〜

          廃棄されるモルト粕からクラフトビールペーパーを生み出す

          ●地ビールからクラフトビールへ 現在、クラフトビールが各地で盛り上がりを見せている。 1994年の酒税法改正で、ビール製造免許取得に必要な年間製造量が2000キロリットルから 60キロリットルに引き下げられ、地方を中心に小規模なビールメーカーが立ち上がり、「地ビール」ブームが起こった。 まだ醸造技術が未熟だったこともあり、品質に比べて割高感が出てしまい、だんだんとブームは下火になってしまった。 しかし、高くてまずいイメージを払拭するためにコツコツと醸造技術の向上に取り組んでき

          廃棄されるモルト粕からクラフトビールペーパーを生み出す

          自然に還る建築〜アースバッグ工法〜

          現在、アースバッグという工法に注目が高まっている。 ホビットが住んでいそうな非常に可愛らしいデザインが目を引くが、それだけではない。 土や粘土を原材料として建築していくため、環境負荷が低く自然に還りやすく、世界中どこでも建てられるなど、様々なメリットを持つ。 今回は、アースバッグ工法の特徴や今後の可能性について特集する。 アースバッグ工法の発案者、イラン人の建築家ナダー・カリリ氏は古代中東建築をヒントに、土や粘土、日干しレンガで作る古代建築 “adobe” と、今日の建築技

          自然に還る建築〜アースバッグ工法〜

          脱プラスチックで世界初の「紙カミソリ」〜貝印株式会社〜

          世界的にプラスチックのゴミが問題となる中、使い捨てカミソリ国内シェアNo.1の老舗刃物メーカーの貝印株式会社は、世界初となる「紙カミソリ」を開発した。 「紙カミソリ」は、ハンドルに紙、ヘッド全体を含む刃体に金属を使用することでプラスチックの削減を目指した。プラスチック素材が使われているのはごくわずかの部分で、従来品比で約98%削減している。 今回は、その取り組みに迫る。 開発背景 貝印株式会社は、1908年に刃物の町・岐阜県関市にて創業。 約1万点におよぶ商品を展開し、使

          脱プラスチックで世界初の「紙カミソリ」〜貝印株式会社〜

          フードロス、地域課題を事業で解決〜ばんざい東あわじ〜

          2021年1月、突然事件は起こった。 大阪は東淀川区東淡路のショッピングタウン、エバーレ内にあったスーパーが閉店してしまったのだ。 困ったのは、その上階に住む約1,400世帯のマンションの住人たちだ。 エレベーター1本で降りて来ることができ、食材をはじめお手頃価格で美味しい惣菜を購入することができていた。 マンション住人の高齢化も進んでいたため、遠方まで買いに行くことが難しい世帯や、単身になってしまっている世帯の食を支える台所の役割を担ってもいたのだ。 また、その買い物が外

          フードロス、地域課題を事業で解決〜ばんざい東あわじ〜

          アパレル業界に一石を投じる「土に還るソール」〜GENN〜

          ●大量生産・大量消費の現代のビジネスモデル 産業革命以降、私たちは大量生産・大量消費で経済を発展させてきた。 そして、それに漏れなく付随することが、大量廃棄である。 ファストファッションなどのアパレルはその最たる例だ。 毎年トレンドは変わり、一年前・二年前の服は着れなくなっていく。 世界では、毎年242億足の靴が生産されている。 そのうち、一部でもリサイクルに回る物は、5〜10%。 残りの90~95%は廃棄されている。 廃棄の内訳として、焼却される物が10%、残りは全て埋め

          アパレル業界に一石を投じる「土に還るソール」〜GENN〜

          水生植物「真菰」による水質浄化〜株式会社リバーヴ〜

          真菰(まこも)はもしかしたら一般的に聴き慣れない名前かもしれない。 真菰は、イネ科の多年生水生植物のことである。 出雲大社の本殿のしめ縄に使われているのが真菰というと、誰しもがイメージできるだろう。 伊勢神宮のしめ縄は麻で作られており、日本では古来から麻と真菰は対になる植物として親しまれてきた歴史がある。 真菰は優れた環境の浄化力が注目され、健康食品やお茶としても親しまれてきた。 宮城県で100年以上の歴史がある株式会社リバーヴ(以下、同社)では、健康食品などの販売を行い

          水生植物「真菰」による水質浄化〜株式会社リバーヴ〜

          独自技術のウルトラファインバブル

          ●貴重な町工場の技術 小惑星探査機「はやぶさ2」の成功の影に町工場があったように、日本の町工場には職人の貴重な技術がまだまだたくさんある。 今回訪問したのも、大阪にある とある町工場だ。 お伺いしたのは、山田電機の山田泰平氏。 特許を取得した独自技術のウルトラファインバブルを開発されている。 以前に研磨業界に携わっていた際に、クライアントの研磨機が熱を持たないように開発されたファインバブルの装置を販売したことから山田氏の現在の起点となった。 まず、ファインバブルについてだ

          独自技術のウルトラファインバブル

          科学技術の力であらゆる 環境問題を克服する 〜株式会社ピリカ〜

          ●ピリカストーリー 会社名にもなっているピリカは、端的に言うと「ゴミ拾いS N Sアプリ」が始まりだ。 元々は京都大学大学院の研究室で生まれたサービスである。 きっかけは、代表の小嶌不二夫氏が休学して世界一周をしたときに、旅した全ての国や地域で深刻な脅威となっていたポイ捨てごみ問題だ。 「もし、ITを使って低コストで問題を解決する方法を開発できれば世界からポイ捨てごみを無くせるかもしれない」と、帰国した小嶌氏が友人と共に作り始めたサービスがごみ拾いSNS「ピリカ」の始まりで

          科学技術の力であらゆる 環境問題を克服する 〜株式会社ピリカ〜