独自技術のウルトラファインバブル

●貴重な町工場の技術

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小惑星探査機「はやぶさ2」の成功の影に町工場があったように、日本の町工場には職人の貴重な技術がまだまだたくさんある。
今回訪問したのも、大阪にある とある町工場だ。
お伺いしたのは、山田電機の山田泰平氏。
特許を取得した独自技術のウルトラファインバブルを開発されている。
以前に研磨業界に携わっていた際に、クライアントの研磨機が熱を持たないように開発されたファインバブルの装置を販売したことから山田氏の現在の起点となった。

まず、ファインバブルについてだが、ウルトラファインバブル、ナノバブル、マイクロバブルなど、様々な呼び名を耳にしたことがあるかもしれないが、詳しいことや違いについては曖昧な方も多いかもしれない。
実は、泡の直径で呼び名が変わっているのだ。

マイクロバブル:直径1μm~100μm未満
ウルトラファインバブル:直径1μm(0.001mm)未満

マイクロバブルとウルトラファインバブル を総称して、ファインバブルと呼ばれている。
また、国際標準化機構(ISO)の定義では、「ナノバブル」「ナノマイクロバブル」などの呼称は使われなくなっている。

ファインバブルについては、シャワーヘッドなどの説明で目にする機会が多いと思われるが、毛穴の大きさは100μm~300μm、髪の毛の太さは80μm程度のため、より細かく小さい泡の方が中に入り込みやすく、汚れを落とせるというわけだ。

●ファインバブルの性質
マイクロバブルが水中に入った時には白濁して視認することができ、水中をゆっくりと上昇して消滅する。
ウルトラファインバブルは水中に入っても透明で、溶解や浮上をせず、水中で数週間〜数カ月漂うと言われている。

ファインバブルは、サイズが大きい気泡に比べて様々な有用性を持っており、ファインバブルを活用することで、これまで使って来た化学薬品や洗剤などの使用量を減らし、地球環境に貢献できる可能性を秘めている。
例えば、ファインバブルは界面活性作用を持っているため、汚れを落としやすくなる。
シャワーヘッドで活用されているのはこのためだ。

ウルトラファインバブルに関しては、植物の成長を促進する効果も認められている。

水質浄化や土壌改良など、環境面での活用も期待されている。

●ウルトラファインバブルの見える化
マイクロバブルは水中にあると白濁するが、ウルトラファインバブルは透明なままなので、視認することができなかった。
そこで山田氏はレーザー光線を当てて、細かい気泡があることを示してくれた。
ウルトラファインバブルがない水はレーザー光線を当ててもレーザーは見えない。
しかし、ウルトラファインバブルの方は、レーザーが浮かび上がる。
これは、ウルトラファインバブルの気泡でレーザー光が散乱するためだ。

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●ファインバブルを作り出す技術
ファインバブルは微細な泡なので、様々な会社が研究開発を行い、多種多様な製造方法が考案されている。
高圧を加えたり、界面活性剤を加えたり、超音波を加えたりすることが多い。

冒頭の山田氏の技術が優れている点は、水道の水圧程度の圧力で筒型を通すだけでウルトラファインバブルが生成できてしまうことだ。
また、簡易的な方法で、泡の発生数を変えることも可能である。

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電源や薬品、ガスなどが必要ないということは、非常に汎用性が広がる。
例えば、家庭の水道管の入り口に取り付ければ、家庭内の全ての水をウルトラファインバブルにすることができるのだ。
食器を洗う際に使う洗剤も洗浄力がそこまで強くなく生分解性の高い物を選びやすくなり、使用量も減らすことができる。これはトイレ、お風呂、洗濯も全て同じことが言える。
同時に、配管全体に汚れがつきにくくなる特性もあり、配管の掃除コスト削減などファシリティマネジメント視点でもメリットがある。

また、電源を使わずに水道の先端に取り付けるだけでウルトラファインバブルになるということは、途上国など電源が確保しにくい場所での水質浄化や、土壌改良などにも活用しやすい。

山田氏の技術を活用して、今後様々な分野で商品化も予定されているとのことで、非常に楽しみである。

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