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2024年8月の記事一覧
【400字小説】かぼちゃの正体
猫が邪魔で書きづらいけれど、退けるわけにもいかないので、辛い体勢で書く。猫には嘘はつけない、シモベであるしかない。スマッシング・パンプキンズが好きだったマキコさんが好きだった。当時、一生懸命理解しようとしたスマパン。ようやく理解できた、ボクはアンパンマン。信じてる、愛と勇気だけは友だちだって。
今夜、約束の橋へ行くので、マキコさんに会えるはず、猫に留守番してもらって。亡くなった妻には申し訳ないが
【400字小説】首輪をなくして
誰のものでもなかった。トニックウォーター飲んで思い出す。会わなくなって10年になろうとしている。名札、取り戻したから、今は誰かの人。でも、解放されたい、秘密の海で会いたい。お酒、飲めないから、本気だったってこと。
連絡しないのは、あの人のやさしさ。結局、破綻したのはあの人の方。悲惨だったから、そんな思いを味わわせたくないって言ってヨ。
波のように押し寄せる、涙のピーク。久しぶりに野球観たな。高
【400字小説】鼻提灯の夏
夏風邪、夏の終わりに。蝉時雨、やさぐれてぼた餅食べすぎた。花火が湿気った。浴衣、着なかった、今年の夏も。
どんどん年を重ねていく、忘れていく、子どもの頃の記憶。最近のことも覚えていられない。だから時間が進むのが早まるのか。記憶が濃密なほど、思い出も重厚。
銃を突き付けられることはしていないし、これからもしない。普通を生きる。売れなかったあのSSWのように、それでも歌い続けていたいから、書く。あ
【400字小説】死に神をディスれば
「余白を楽しみたい」と80歳の母が言った。87歳で父は逝った。三途の川、渡るための草履を買わされた。母は開き直ってて、たくましかった。彼女のように強くはなれない。
祭壇に白い菊。花屋で働いていた際に葬儀用の菊を用意したことがあったが、やり口をほぼ忘れてしまった。「すべて忘れてしまえればいいのに」と母がため息を吐いた。やはり母も強くはなかった。焼き肉をたっぷり食べて食欲を爆発させていたのは強がりだ
【400字小説】化け猫
死んだ家猫がフルカラーの夢で生き返ってた。昨夜見た夢と同じで、途中になる前に夢だって今夜も気づいたから泣けた。
一度も外に出たことのなかった10歳の家猫は、わたしが油断した隙に玄関から飛び出して、その直後に車に轢かれて逝った。わたしは後悔しても後悔しきれない気持ちでいる。わたしだけの家猫だったので、誰にも責められることはないが、唯一自分がわたしを叱責する。
幻聴が聞こえる。
なにやらかしたん
【400字小説】スタンド・バイ・湯~とぴあ
駅前のバスロータリーを見渡してる。鳩がいる、外国人観光客がいる、タクシーが何台も客を待ってる。俺は温泉に行きたいと考えていた。このあとカウンセリングで、そのあとは家事。引っ越しをしたが荷ほどきが進まない。ぼんやりとガラス張りの向こうを見ながら、思考。
若い女たちが歩いている。俺は下心丸出しでみっともないおじさん。でもバスを待ち続けているおばあさんにしてみれば、まだまだ俺なんて未熟で。夏は終わった
【400字小説】旅路ノ季節
夏も終わろうとしているのか。まだ暑いのに。地球温暖化、危機感を覚えないのか!
わたしは車を手放した。少しでも地球のためにと思って、エセ人間。ドコソコに寄付をしたとか、子どものために働いているとか、わざわざ口にすることじゃないのでは? 本当の気持ちなら、誰かに言う必要もない。ましてやSNSで報告するみっともなさも晒すなんてことはするべきじゃない。ひっそりと、ひっそりと暮らしたい。
だから秋が来る
【400字小説】素直になれない
子どもみたいな絵を描けなくなるのは辛いこと。詩だって小学生の頃は素直ないい詩が書けたけれど、大人になって不自由になっただけ。絵そのものは描かなくなった。絵も詩もあんなに大好きだったのに。ゲームにすら夢中になれない無趣味の女。レディオヘッドが好きだった元カレのことは忘れられないのに。
抱き合うことにだって執着しなくなった。50歳という大きな節目を迎えようとしている。すでにあの世に片足をツッコんでい
【400字小説】Daydreamingに名前はない
一人息子を連れて、花があふれる公園へ行った。灼熱の太陽。息子の半ズボン。バカンスは取れない。忙しい毎日。公園には犬もいて、わたしたちと同じように母子で来ている人々が目立った。けたたましい勢いでママ友トークに笑い声を破裂させる母親たち。いつの間にか息子はほかの子どもたちとじゃれあっていた。肌が痛いのは凄まじい日差しのせい。今日もまたお酒飲んでしまうのかなあ。
公園のほとんどの花の名前を知らない。そ
【400字小説】セックスだけが人生のすべてではないのだよ
不穏な気持ちが止まらなくて、レモンちゃんにセックスを懇願。嫌々してくれて笑っちゃったなあ。
レモンちゃんは終わった後、Tシャツを着替えたのだけれど、それが不穏な色使いだったから、気持ちは鬱へ突き戻された。手紙の返事も書けないくらいに落ち込んだ。「もう一回して」だなんて言えなかったし、若いから何回でもできる自信はないこともないけれど、そういう時に限ってイップスを発揮するから、勃たなったかもね。
【400字小説】いらないおくりもの
「パパ、これあげる!」ってマツボックリをくれた娘も成長して、順調にわたしを敬遠するように。高校生になったばかりと思っていたのに、大学受験生に巻き込まれた。カラオケに行きまくっているのは逃避行?非行に走らなかっただけマシか。でも、ヤンキーになっても娘は自分の愛する娘だからloveできたな、本心?
しばらくしたら、婚約者を連れて家に襲撃にやってきそうだな。あと10年後くらいかとか余裕こいてたら、アポ
【400字小説】流星☆少女
彼女は営業の天才で、月に何件も契約を獲得したり。また20歳だっていうのに、20年勤務のわたしを追い越した。ううん、スタートラインに立った時点から先を行ってた。嫉妬してもおかしくないのだけれど、あまりに見事すぎて拍手しちゃうほど。わたしは同性ながら彼女のファン、遠い遠い存在のアイドル。若くしてキャリアウーマンだから、奢ったりしてもおかしくはないのだけれど、素直さも持ち合わせていて無敵だ。「トイレって
もっとみる【400字小説】恋愛という名の落書き
フラれにフラれまくった10代後半。だから20代前半は恐れて自分から恋をしなくなった。一転、20代後半は、超*肉食に変わって、みっともないほどだったけれど、おかげさまで27歳で童貞を卒業。「初めてだったの?」ってバカにされたのは、ご愛敬ってものだ。
「初めて見た映画は『スターウォーズ』だった」
「わたしは『ゴールキーパーの孤独』」
愛していたのに、その会話から嚙み合わない運命を感じてしまった。な
【400字小説】あなたはわたしなの?そうでしょう?
読んだことがあるのは書いた記憶があるせいなの。気づいてる?
わたしのふりをしないで。自分のままでいて。でも、そうしないのがあなたらしさ?
校庭のど真ん中で待ってる。「わたしはあなた!」って叫んでみようかな。聞こえるかな?
ドシャ降りで聞こえないかも。でも愛は届くよ。自分自身を愛しなさい。信じてるって言えよ。言えない?
「遺影はイエ~イ」ってピースサイン?
何度言ったらわかるのさ。不謹慎に