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【400字小説】首輪をなくして

誰のものでもなかった。トニックウォーター飲んで思い出す。会わなくなって10年になろうとしている。名札、取り戻したから、今は誰かの人。でも、解放されたい、秘密の海で会いたい。お酒、飲めないから、本気だったってこと。

連絡しないのは、あの人のやさしさ。結局、破綻したのはあの人の方。悲惨だったから、そんな思いを味わわせたくないって言ってヨ。

波のように押し寄せる、涙のピーク。久しぶりに野球観たな。高校野球は滅びる。相撲なんてもう伝統も何もありはしない。あの人はまだそういう古い体質を快感に思っているのか。

「もう見放してよ」と言ったのも無視して抱かれた。寂しかっただけで愛はなかったの? そういうオチは在り来たりで退屈さえもしない。確かにあのひとときはあの人のものでした。やさしくしてほしかった。2匹の猫に軽蔑される毎日、過去のこと。わたしが有名になったら、ゴシップネタになるね、あの首輪の日々は。

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