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パリ条約6条の7 代理人,代表者による商標の登録・使用の規制

 パリ条約6条の7では、(1)で代理人等による商標登録規制、(2)で商標使用規制、(3)で商標権行使規制、が規定されています。

 パリ条約6条の7(1)の代理人等による商標登録規制では、同盟国における商標権者等の代理人が、許諾を得ないで(勝手に)商標権を取得できないことが規定されています。ただし、正当理由がある場合には、例外的に、代理人も商標権を取得できます。
代理人の代表的な例が、販売代理店です(英語ではdistributor)。リスボン改正会議ではコンシューマー(顧客)も入れようとしたが拒否されたようですので(パリ条約講話13版P.425)、顧客は代理人には含まれないはずです。
許諾には、明示許諾・黙示許諾の両方が含まれます
パリ条約6条の7(1)で難しいのが「正当理由」です。この正当理由には、同盟国における権利者が、(a)代理人の国で商標権を放棄したことや、(b)代理人の国での権利取得を考えていないことを代理人に通知したこと、が含まれます。

 パリ条約6条の7(2)では、同盟国における商標権者等が、代理人等が代理人等の国で商標を使用することを規制できることが規定されています。ただし、パリ条約6条の7(1)に従うことが前提となっていますので、代理人等は正当理由を主張することで、商標使用を正当化できる可能性があります。
わが国では、パリ条約6条の7(2)に対応した規定として、不正競争防止法2条1項22号が規定されています。

 パリ条約6条の7(3)では、同盟国における商標権者等の権利行使についての規制が規定されています。「除斥期間」とも呼ばれる期間です。わが国では、除斥期間を5年間としています。なお、商標が代理人等の国で周知となっている場合には、パリ条約6条の2の規定の救済も得られます。

・パリ条約6条の7 代理人,代表者による商標の登録・使用の規制

(1) 同盟国において商標に係る権利を有する者の代理人又は代表者が,その商標に係る権利を有する者の許諾を得ないで,1又は2以上の同盟国においてその商標について自己の名義による登録の出願をした場合には,その商標に係る権利を有する者は,登録異議の申立てをし,又は登録を無効とすること若しくは,その国の法令が認めるときは,登録を自己に移転することを請求することができる。ただし,その代理人又は代表者がその行為につきそれが正当であることを明らかにしたときは,この限りでない。
(2) 商標に係る権利を有する者は,(1)の規定に従うことを条件として,その許諾を得ないでその代理人又は代表者が商標を使用することを阻止する権利を有する。
(3) 商標に係る権利を有する者がこの条に定める権利を行使することができる相当の期間は,国内法令で定めることができる。

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