パリ条約11条 博覧会出品の仮保護
パリ条約11条では、国又は公的機関が承認した国際博覧会に出品した物等に対する仮保護が規定されています。パリ条約を締結するきっかけが国際博覧会出品物への保護だったため、最初のパリ条約から博覧物出品物への保護規定は入っているようです。
この「仮保護」の具体的定義まではなされていません(パリ条約11条)。ただし、出品による不利益填補のための保護が与えられることが多いようです。この保護の具体例が、新規性喪失の例外を認めることや、出願日の特例を認めることです。
我が国では、「公の」とは政府や公法人が自ら開催するものであり、「公に認められた」とは、私法人等が政府等の合意に基づいてその指揮監督、後援を受けて開催するものであり、「国際博覧会」とは多数の国が参加して商品等の展示を行うものです。
仮保護期間と優先期間が重複する場合もあり得ます。この場合、仮保護期間によって優先期間の終期が延長されるわけではありません(優先期間の実質的延長防止)。この具体例が、パリ条約11条(2)の「後に優先権が主張される場合には,各同盟国の主管庁は,その産品を博覧会に搬入した日から優先期間が開始するものとすることができる。」という規定です。パリ条約11条(2)では、第一国出願がパリ条約11条の適用を受けた後、第二国出願がパリ条約4条及び11条の適用を受けるケースが想定されています。我が国では、保護期間の始期の例外として、商標法9条の出願時の特例が規定されています。
パリ条約11条の適用を受けるためには、各種の証拠書類を要求されることがあります(パリ条約11条(3))。これは、①保護対象と出願内容が同一であること、②展示会等の日程と、③出願内容と同一の物等が展示された事実の証明と、を求めるためのものです。
我が国では、特許法26条を介して保護義務を果たしています。具体的には、特許法30条(新規性喪失例外)、実用新案法11条、意匠法4条、商標法9条(出願日の遡及)がパリ条約11条に対応する規定です。
・パリ条約11条 博覧会出品の仮保護
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