不競法18条 外国公務員等に対する不正の利益の供与等の禁止
外国の公務員等は、我が国の公務員等ではないため、我が国の利益を図るためであれば、金銭その他の利益供与をしても問題ないという考え方もありえます。
しかし、我が国は、「国際商取引における外国公務員に対する贈賄の防止に関する条約」(OECD外国公務員贈賄防止条約)に批准しています。このため、この条約を順守するために本条の規定が設けられています。なお、この条約は、収賄側の規制(刑罰等)を規定していませんので、贈賄側だけが規制されます。
具体的には、本条は、
①国際的な商取引に関して営業上の不正の利益を得るために、
②外国公務員等に、
③その職務に関する行為をさせ若しくはさせないこと等を目的として、
④金銭その他の利益を供与した場合、
を対象とします。
ここで、「不正の利益」とは、通常の行政手続きを円滑(迅速)にしてもらうという利益ではなく、公序良俗や信義則に反するような形で得られる利益のことです。また、外国公務員等の「外国」には、未承認国も含まれます。
余裕があれば、①本条の行為を日本国内で行う全ての者が対象となる点、②日本国民は、日本国外で本条の行為を行った場合についても対象となる点、も確認しておきましょう。
・不競法18条
(外国公務員等に対する不正の利益の供与等の禁止)
第十八条 何人も、外国公務員等に対し、国際的な商取引に関して営業上の不正の利益を得るために、その外国公務員等に、その職務に関する行為をさせ若しくはさせないこと、又はその地位を利用して他の外国公務員等にその職務に関する行為をさせ若しくはさせないようにあっせんをさせることを目的として、金銭その他の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をしてはならない。
2 前項において「外国公務員等」とは、次に掲げる者をいう。
一 外国の政府又は地方公共団体の公務に従事する者
二 公共の利益に関する特定の事務を行うために外国の特別の法令により設立されたものの事務に従事する者
三 一又は二以上の外国の政府又は地方公共団体により、発行済株式のうち議決権のある株式の総数若しくは出資の金額の総額の百分の五十を超える当該株式の数若しくは出資の金額を直接に所有され、又は役員(取締役、監査役、理事、監事及び清算人並びにこれら以外の者で事業の経営に従事しているものをいう。)の過半数を任命され若しくは指名されている事業者であって、その事業の遂行に当たり、外国の政府又は地方公共団体から特に権益を付与されているものの事務に従事する者その他これに準ずる者として政令で定める者
四 国際機関(政府又は政府間の国際機関によって構成される国際機関をいう。次号において同じ。)の公務に従事する者
五 外国の政府若しくは地方公共団体又は国際機関の権限に属する事務であって、これらの機関から委任されたものに従事する者
・国際商取引における外国公務員に対する贈賄の防止に関する条約 第1条 外国公務員に対する贈賄
1. 締約国は、ある者が故意に、国際商取引において商取引又は他の不当な利益を取得し又は維持するために、外国公務員に対し、当該外国公務員が公務の遂行に関して行動し又は行動を差し控えることを目的として、当該外国公務員又は第三者のために金銭上又はその他の不当な利益を直接に又は仲介者を通じて申し出、約束し又は供与することを、自国の法令の下で犯罪とするために必要な措置をとる。
2. 締約国は、外国公務員に対する贈賄行為の共犯(教唆、ほう助又は承認を含む。)を犯罪とするために必要な措置をとる。外国公務員に対する贈賄の未遂及び共謀については、自国の公務員に対する贈賄の未遂及び共謀と同一の程度まで、犯罪とする。
3. 1及び2に定める犯罪を、以下「外国公務員に対する贈賄」という。
4. この条約の適用上、
a 「外国公務員」とは、外国の立法、行政又は司法に属する職にある者(任命されたか選出されたかを問わない。)、外国のために公的な任務を遂行する者(当該外国の公的機関又は公的な企業のために任務を遂行する者を含む。)及び公的国際機関の職員又はその事務受託者をいう。
b 「外国」には、国から地方までのすべての段階又は区分の政府を含む。
c 「外国公務員が公務の遂行に関して行動し又は行動を差し控える」というときは、当該外国公務員に認められた権限の範囲内であるかないかを問わず、その地位を利用することを含む。
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