駐車場での真夏の大冒険
今日は車で本屋さん行った。
近頃の本屋はショッピングモール内にあったり、駅構内の建物にあったりすることが多いので、本屋一点勝負のストロングスタイルの店は久しぶりだった。
欲しい本はあったのだが、今読んでいる本を読み切るまで新しい本は買わない、というルール適用中のため、目に入った本を片っ端からペラ見することにした。
まず手に取ったのは、チャンス大城さんの自伝「僕の心臓は右にある」。帯の「即映画化です」という千原ジュニアさんの言葉に吸い寄せられた。あらすじを読んだだけだが、チャンスさんの壮大な物語のプロローグのようで、続きが読みたくなった。たとえそれがコンプレックスであれ、自分だけの武器が一つでも見つかれば、俄然生きやすくなるのだと教わった。
次に向かったのは雑誌コーナー。普段雑誌などは読まないのだが、現在、長濱ねるさんが「ダ・ヴィンチ」という雑誌でエッセイを書いており、それ目当てでダ・ヴィンチを手に取った。そこだけ読むのも尺なのでペラペラめくっていると、弘中アナのエッセイを見つけた。読んでみると、大学時代に進路選択について悩んだ出来事が語られており、今の僕にピンポイントの内容だった。弘中アナは、自分には突出したものがなく、やりたいこともなくて悩んでいたそうだが、就活本を買って質問に答えていき、自分と向き合ってみると、段々と自分の輪郭が見えてきたそうだ。自分のやりたいことを見つけるには、色々なものにチャレンジしてやりたいことに出会うのではなく、意外と過去の自分を振り返ってみると、自分がずっと好きだったものが見えてきて、それが自分が目指すべきものだとわかるのだそう。僕はこれを読んで、とても腑に落ちた気分だった。何かを見つけよう!と意気込んで外に出ても、何も見つからないことが多く、逆に自分では気づかないくらい自然にやっていることの方が、自分に合ったもの、自分の武器だと思うからだ。就活の時期は自分には何もないと悩むことが多いと思うが、案外近くに自分にしかできないことが落ちていると信じている。
弘中アナのエッセイに満足して本を閉じかけたが、ねるさんのエッセイが読みたかったのだと思い出し、ページを開いた。ねるさんのエッセイは、感情の変化がストレートに読み取れて、とても読みやすかった。ねるさんは元アイドルでモデルなどもやっているので、見た目に気を遣い努力しているのだが、それがストレスになってしまう。見た目はよくなっているのかもしれないが「心はすり減っている」という表現がとても鮮やかだった。流されやすい性格で、自分が尊敬する人のように、芯をもって生きられない自分に嫌悪感は抱いていたが、その尊敬する人の言葉によって立ち直る。日々悩み葛藤しながら生きているが、ちょっとした出来事で救われる。ねるさんの文章は僕の師匠、若林さんに似ているなと思った。僕はそんなねるさんがもっと好きになった。
お二人のエッセイを読んで満足感に浸りながらも、もっとエッセイを読みたいと欲がでて、文庫本コーナーに向かった。そこでは村田紗耶香さんの「となりの脳世界」を読んだ。小さい頃から本屋が好きで、小学生のときに家の近くに本屋のあるショッピングモールができたときの嬉しさと、今はそのショッピングモールがなくなってしまったことの寂しさが書かれていた。うまく言葉で言い表せないが、エッセイなのだけど、村田さんの脳が作り出した物語のような気もして、なぜか自分もその出来事を経験したような気持ちになった。自分も本屋に行くのが好きなので、村田さんに共感する部分が多くて嬉しい気持ちになった。
駐車場は1時間無料だったので、50分程度経ったころ、本屋を後にした。事前に精算機に入れて駐車料金が0円だったことを確認し、車を出した。しかし、駐車バーの前に止まった瞬間あることに気づいた。
「駐車券がない」
どうしたって駐車券なしでバーが上がるはずないので、慌ててバックして広いところに再び駐車した。さっき精算機に入れたから駐車券はもうないじゃないか!そう思ってパニックになっていたのだが、ふと精算機から駐車券返ってきてるんじゃね?と思った。以前も競馬場で当たりの馬券を入れてお金だけ回収して満足し、馬券を回収しなかったためQUOカードの抽選会に参加できなかった、ということがあったので、また同じミスか、と自分に溜息をついた。案の定、事前の精算機に僕の駐車券があり、ほっとした。しかしまたここで焦る。
「駐車料金がとられてしまう!」
事前精算をした際に、15分経つと駐車料金が発生します、と表示されていたのだ。僕は15分あるなら車でちょっと休んでから行こうと余裕をかましていたので、最初に車を発車したのは10分ほどたったころ。そこからで駐車券がないことに気づく一連の流れがあったので、もう15分すれすれ。精算機から車でダッシュをし、安全確認もそこそこに慌てて車を出した。バーの前の精算機に駐車券を入れる。
「頼む。0円であってくれ・・・」
精算機さん「その上に料金が表示されます。(パっ、0円)気を付けてお帰りください。」
「っっっしゃあああーーー!!!」
精算機さんの声がファンファーレに聞こえた。
Tokyo fm「今日募集するコーナーは、あなたの真夏の大冒険です!」
これが俺の真夏の大冒険じゃ!