「夢を叶えた」という忘れかけていた事実を、推しのチアが思い出させてくれた話
2024年、今年もアナウンサーの仕事納めをした。アナウンサーとして2年目を迎え、少しずつ慣れてきた中、まさかの再会があった。
その人と再会したおかげで、自分が頑張って夢を叶えた道のりを、思い出すことができた。2024年最後のnoteに、再会までの過程を書こうと思う。
アナウンサーとして
このアカウントではライター・フォトグラファーとして発信をしているが、実はスポーツ実況アナウンサーとしても活動をしている。
まだアナウンサーになって1年と少し、実力不足を感じることもたくさんあるけど、自分なりに頑張ってやれていると思う。
ここはあくまで「アナウンサーもやってます」と紹介したかっただけだから、グダグダ長く書かない。
最初に会ったのは4年前
タイトルにもある「推し」というのは、とあるスポーツチームで活動をされていたチアリーダーさんのこと。
4年前、アナウンサーの仕事など何も興味がなく、ライターの仕事でスポーツチームの取材に行った。見に行ったのはBリーグの試合。
バスケの試合はそれまで一度も見に行ったことがなく、ルールもわからん。ただ、選手との距離の近さがすごくて、すぐに魅了されたことを覚えている。
それから、Bリーグは特にチアの方が踊る場面が多い。試合前、ハーフタイム中、タイムアウト時など、頻繁に登場してパフォーマンスをする。
そんな中、10数人いたチアの中で、ある人のパフォーマンスが自分にとってとても印象に残った。
10年以上の前の話だがAK○48が好きだったから、その影響なのかダンスとかは結構注意深く見るようになった。「ここちょっとズレたな」とか、意地悪な見方もあるのだが。
その人は明らかにパフォーマンスが違っていたし、何か人を引きつける要素があったように思う。
なんとなく仕事で行っただけだったけど、帰る頃にはその人のファンになっていた。
約束後、「推し」が表舞台から消えた1年半前
その後、頻繁ではないが試合会場に行くこともあり、気づけばその人が「推し」になっていた。
Bリーグは選手とファン、チアの距離がとても近い。さすがに選手と話すのは難しいけど、帰り際のお見送りなどでは、チアの方と話す人もいる。そんな長時間話せるわけではないけど。
自分も推しのチアと話す機会があり、その中で「スポーツ実況アナウンサーを目指そうと思っていて…」的なことを話したと思う(詳細にまでは覚えていない)。
そんな話をしたとき、「じゃあアナウンサーになったら、アナウンサーとチアとして試合会場で会いましょう!」と推しのチアは言ってくれた。
もちろんお世辞というか、自分に気を遣ってくれた部分もあるはず。でも、そうやって言ってくれて、本格的にアナウンサーを目指そうと決心がついた。
それから数ヶ月後、推しのチアはチームから卒業し、表舞台から姿を消した。チアの卒業はよくあることだから予想はしていたけど、いざ現実になるとショックだった。
「アナウンサーになって会う」
この約束を果たすのは、もう無理かなと思った。
アナウンサーになるためのレッスンを受け続けた2年間
ある時から、スポーツ実況アナウンサーになるためのレッスンを受けることになった。今いる事務所のレッスンだ。
昔から野球は見ていたから、野球の実況に関してはまだ自信があった。それでも全然できないし、バスケなんてもってのほか。スピードについていけない。
諦めグセが昔からあった自分は、冬にレッスンを中断することにした。「喉の状態が悪い」と理由を付け加えたが、正直なところ戻るつもりはなかった。一時はこんな思考にも陥った。
「実況アナウンサーは自分にできる仕事じゃないな」
ただ、レッスンからたった半年しか経っていないのに、諦めるのはどうなのか。とにかくスポーツが好きで、芸能の仕事にも関心があったからレッスンを受け始めたのに、またすぐ諦めるのか。
そう思ったら自分が情けなくなり、もう一回頑張ってみようと思った。もちろん、この判断ができたのは推しのチアと約束したことも理由にある。
やっぱり人って、自分のためだけじゃ頑張れない
「誰か」という他人がいるから頑張れるんだ
推しのチアは表舞台から去ったから、仮に自分がアナウンサーになれても会える保証はまったくない。それでも、1%でもその約束が果たせる可能性があるのであれば、何とか頑張ってみようと思った。
そこから2年、週1回のレッスンをほとんど休まず受け続け、事務所への所属が決まった。我ながらよく諦めずに頑張ったと思う。
約束から約2年後、アナウンサーとチアとして再会した
アナウンサーになってからいろいろな現場を経験し、今も変わらず仕事を楽しめている。しかし、時が経つにつれて、いつしかアナウンサーの仕事も特別なものではなくなっていた。
こればっかりは仕方がないと思うし、むしろ慣れてきたという意味では、ポジティブに捉えていいと考えている。
そうやって迎えた2024年のある日、いつも通り実況の仕事に向かった中、あることを思い出した。
「そう言えばあの人、今日の試合で実況するチームのチアになったんやっけ」
今年のBリーグ開幕時、適当にいろんな試合を見ていたら、画面越しにその人が映っていた。一瞬目を疑ったけど、前は別のチームでチアをしていた、推しの人で間違いなかった。
そして実況の仕事で向かったのは、その人がいるチームのアリーナ。試合前のチアのパフォーマンスで、かつて推していたチアが踊っていた。
実況の仕事が終わった後、記者会見の部屋から出ようとしたまさにそのとき、推しだったチアがいた。これは本当に偶然で、どうしても伝わりづらいと思うが、かなり奇跡的なタイミングだった。
自分のことを覚えてくれていて、少し話した後にこう言ってくれた。
「すごい!アナウンサーになる夢を本当に叶えたんですね!」
ハッとした。自分にとってアナウンサーになることは、間違いなく夢だった。なのに、夢が叶って少しすると、そんな事実を忘れそうになっていた。
仕事終わりに毎日バスケ、ラグビーの試合を見て、ルールや選手名を覚えたあの2年間。すごく頑張った期間だったのに、記憶の彼方にいってしまいそうだった。
「そうだ、自分は夢を叶えたんだ。だったらもっと本気で向き合わないと」
アナウンサーとしての自分はまだまだ新人。新人が頑張らないでどうする。その再会のおかげで、気が引き締まった感じがした。
人生はタイミング。そのチアを推しててよかったし、再会できてよかった。夢の第一段階は叶えることができた。
だから、もっとアナウンサーとしてビッグになる。
これが自分の「次にかなえたい夢」だ。
終わりに
「夢を持っているかどうか」なんてどうでもいいと思っている。なくたって生きていけるから。
しかも、夢を叶えた後って意外と地味で、「あれだけ頑張ったはずなのに」と冷静になってしまうこともある。
そんな時こそ「夢を叶えたのはすごいね」と言ってくれる人がいたら、きっともっと頑張ろうとなるはず。だから、このnoteを読んでいる方の周りに、夢を追っている人がいたらぜひ応援してあげてほしい。
そして、夢を叶えた人がいたら、ぜひ一言伝えてあげてほしい。
「夢を叶えたんですね!」と。