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Inside My Glass Doors... 「うち」から俯瞰する人生観

夏目漱石が晩年の闘病生活の中で、日々の生活の事やふと記憶に蘇った思い出を、筆の赴くままにつらつらと書き綴ったエッセイ集、『硝子戸の中』。

飼い犬や代々の猫達の事、子供達との何げないやり取り、あるいは訪ねてきた友人や今で言うファンとの会話、学生時代の友人との思い出、更には実家で起きた泥棒事件に至るまで、端正かつ淡々とした筆致でありながらも隅々までさりげなく観察する眼差しには、全ての生命に対する愛情とどこか達観した感情、人生観が表れており、時代を超えて読んでいる者の心を打つ。

どちらかというと地味ではあるけれど、とても良いお出汁のおうどんでも頂いたような心地になり、このところの雨の止まない夜など、ふと手に取りたくなるような隠れた名作📖

(… なんて私ごときが語る事ではないけれど、15年以上ぶりに再読してずいっと引き込まれました。ご自身の体調がすぐれないのに不思議ちゃん的人物に対して親身になったり、放ったらかしの病気の飼い猫にふと我が身を重ね合わせたり、ちょっと捻くれ者だけれど、何て繊細で心の優しいオジサマなのだろうと、改めてじんわり沁みました…。)

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